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こいつ、からかってんな
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「二つ、お見合いを断る方法があります」
と、宗旦狐。
なになに?
「一つは、俺の家に居座る」
「ないです」
なにこいつ真顔でありえないこと言ってんの?
「否定するの早くないですか」
「一つめは絶対ありえません。二つめは?」
宗旦狐、肩をすくめる。
「二つめは、既に彼氏がいると親に公表する」
「……彼氏?どこにいるんですか、そんな人?」
「なるみさん、俺の心折るの得意ですね」
いや、だって、あたしは宗旦狐と付き合ってないし。
……もしかして、宗旦狐はもう付き合ってると思ってた?
「えっ、あたしたちって付き合ってんですか!?」
「なるみさんが首を縦に振ってくれるなら、今からでも婚姻届取りに行きます」
宗旦狐は嬉々としてそんなことを言う。
あ、こいつ、からかってんな。