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巧さんと合流
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そんなわけで、渡辺先輩に断りを入れて、あたしは早退することになった。
宗旦狐の車に乗せられ、あたしは外の景色を眺めながら聞く。
「どこ行くんですか」
「行けばわかります」
宗旦狐はそれだけしか答えてくれなかった。
車は、大学最寄り駅の近くの駐車場で停まった。
あたしは、いつになく厳しい表情の宗旦狐に無言でついて行く。
宗旦狐が向かっている先は、パチンコ屋だった。
爆音が響くパチンコ屋の前には、私服姿の巧さんが立ってる。
「……こんにちは」
あたしがとりあえず挨拶すると、巧さんは軽く会釈した。
「巧くん、案内よろしく」
巧さんは頷くと、パチンコ屋の中に入って行った。