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だめだ、こりゃ
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「月川さん」
あたしは階段を降りようとしたところで、大旦那に声をかけられた。
物凄く、深刻そうな顔してる。
「このあと、……しだけ……ある?ちょっと……たい……が……けど」
あれ?
大旦那の言葉、聞き取れない。
ーーどうしよう。
また、視界が揺らぐ。
そう思った時には、足に力が入らなくなってた。
「月川さん!」
あたし、なんとか手すりに掴まって階段からの落下を回避する。
うう、気持ち悪い。
「ちょっと……空き教室借りていいですか」
だめだ、こりゃ。
ほんとは横になりたいけど、保健センターはここから遠いし、今日は土曜だから開いてるかもわからない。
きっと、大人しくしてればまた直ぐ治るはず。