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危険ですので黄色い線の内側までお下がりください
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……あー、馬鹿馬鹿しい。
駅のホーム。
電車にも乗らないで、ベンチに座ってただただボーッとする。
視界は揺らぐし気持ちは悪いし気分も最悪。
まじで、なにしにきたのか。
三千円無駄にしたな。
あー……くそ。
目から汗まで出てくる。
他人に愛されなくったっていい。
あたしは一人でだって大丈夫。
いつだってそうだったじゃん。
あたしが好きだった男子は周りからからかわれて泣いたし、特に好きでもなかったかつての男友だちも周りを気にしてあたしとは遊ばなくなった。
あたしにとって男は敵だけど、男にとってもあたしは敵なんだろう。
相容れるわけがなかったんだ。
……次の電車きたら帰ろ。
服の袖で目をから出る液体を拭い、顔を上げて次の電車の時刻を確認する。
あと三分だからもう少しでくるな。
そう思ってたら、周囲がざわつき始めた。
視線を辿る。
そこには、おぼつかない足取りで黄色い線の外側を歩く男がいた。