166/416

例によって例のごとく

166

十一月も中旬になった。

大学名物の銀杏並木からは、たわわに実ったぎんなんがぼとぼとと道に落ちて異臭を放つ。

いや、これがマジで臭くって、あたしが在学中に一回枝をばっさり切ったりしたんだけど、それでもまたにょきにょき生えてきたんだよね。

景観的にはやっぱりこっちの方が綺麗ではあるんだけど、ぎんなんは臭い。

で、そんな中で、ようやく中間発表の日になった。

この日、あたしと渡辺先輩は、四年生が発表してるところを写真に収める仕事を与えられていた。

あたしと渡辺先輩は、大学から支給されたカメラを首から下げてどのゼミを回るか相談する。

「わたし、二階の教室でやってるゼミの発表から回るわ」

「じゃあ、あたしは一階から回りますね」

「じゃあ、俺はなるみさんについて行きますね」

……例によって例のごとく、宗旦狐は今日も来ていた。

ほんとに暇なんだな。