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バイトするならタウ◯ワークかな
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駅に着いた頃。
実父はあたしに土下座をするような勢いでこう言った。
「生活費が全然足りないんだ。金融機関からは、俺の名前じゃもう借りられない。このままじゃ、首を吊って死ぬしかない。なるみ、頼む!二万、貸してくれないか。必ず!必ず返すから!」
駅の利用者が、みんなこっちを向く。
「わかった。わかったから頭上げて」
あたし、慌ててATMで二万引き出して実父に渡す。
「すまない。本当にすまない」
そう言って、実父は二万円握りしめて、まだ仕事が少し残ってるからと会社に戻って行った。
実父は、きっとまた来るだろう。
あの人からの返金は期待してない。
でも、こうなったのは自分の責任だ。
誰にも相談できないし、無下にもできなかった。
今月からは、あたしも奨学金の返済が始まる。
貯金はほとんどない。
あたしは電車に揺られながら、端末で日払いのバイトを探した。