さよなら!
16
女子トイレの前を通り過ぎる前に、男共の前に立ちはだかる。
男共、案の定ぎょっとした顔してた。
「あ……月川、さん」
男四人、硬直。
あたし、満面の笑みを浮かべる。
これまで意地でも見せられなかった、満面の笑み。
「ぜんぶ、聞こえてました!陰口はもっとうまくやらなきゃダメですよ?」
男共に背を向けて席に戻る。
男共、恐る恐るついてくる。
「ごめんなさい、ゆかりさん。あたし先帰りますねー!」
鞄から財布取り出し、ゆかりさんに三千円を渡す。
女子三人、唖然。
「えっ、ど、どうしたの、なるみ」
「悪い、花村。ちょっと気分、悪くなっちゃってえ」
こいつらと同じ空気吸ってたからさあ。
「あとで、LINEするね!」
この男共について全部。
陰口ってのはなあ、こうやってやんだよカスどもが。
「大丈夫?一緒に帰ろうか?」
「ぜーんぜん大丈夫です!先輩、花村のこと、お願いします!」
くるりと振り返って男共四人が視界に入る。
青くなってる。
いい気味。
こいつら四人、これからどんなにこの場を盛り上げたところで、あたしが後で花村や先輩にチクりゃ全部無駄になる。
かと言って、あたしが帰ったあとで直ぐに男共から簡単に切り上げることもできないだろう。
そんなことしたら、あたしと一緒に帰ってきた自分たちに非があったことをバラすようなもんだ。
まあ、どっちにしろバレんだけどなあ?笑
「それじゃ、さよなら!」
永遠に!