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やることがあるって素晴らしい
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あたし、宗旦狐と美月ちゃんが和気藹々と冊子作ってる中、学生からちらほらと届いてるレジュメを裏表A3サイズで学生一人につき百部印刷。
がしゃこんがしゃこん、印刷室を独占してひたすら一人で印刷した。
帰る頃には、冊子は見事できあがってて、それを帰り際に各三年から一年のゼミを受け持ってる先生方のポストに入れる。
「お疲れ様でしたー。手伝ってくれて、ありがとうございます」
久しぶりに仕事らしい仕事をした気がする。
あたしは、手伝ってくれた宗旦狐と美月ちゃんに素直に礼を言った。
これ、今まで一人で渡辺先輩やってたとか、信じられん。
「なるみさん、また駅まで送りますよ」
ああ、宗旦狐なら言うと思った。
「美月も送って!」
「いいけど、佐々木先生はいいの?」
「あんなおじさん、ほっといて大丈夫だよ」