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実は忙しい
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実を言うと、今日はなかなか忙しい日だった。
なぜなら、四年生による卒業論文の中間発表が近いから。
中間発表とは、四年生がゼミごとに自分の研究についての途中経過を、後輩たちに発表するという催し物みたいなものだった。
後輩たちは先輩たちの研究内容を聞いて、自分のゼミを決める。
あたしたち資料室スタッフは、この後輩たちに配布する四年生が作ったレジュメを印刷する係りだった。
他にも、各ゼミのプログラムをまとめた冊子も作成しなくちゃならん。
今が、資料室にとって一年の中で一番忙しい時だった。
だから、
「プログラム冊子作るの手伝ってください」
あたしは、宗旦狐と美月ちゃんに三百枚のプログラム用紙を渡した。