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よし、今度こそ作業しよう
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「父親って、なるみさんの本当のお父さんですか!?」
「そうそう。あの人もこの近くで働いてて、昨日偶然会ったの。それで、一緒に飲んだんだー」
「よかったですね!なーんだ、それじゃあもしかして、飲み過ぎで終電逃しちゃったパターンですねー?」
「あはは、そうそう」
あたしと美月ちゃん、和気藹々と笑い合う。
でも、宗旦狐は少しも笑ってなかった。
心の中まで見透かすような目で見られて、あたしは思わず目を逸らす。
宗旦狐があたしの方ばっか見てるのに気づいたのか、美月ちゃんは宗旦狐の腕を振って話題を変えた。
「ねえお兄ちゃん、美月そろそろお誕生日だよ?今度は夜景が綺麗なレストランとか行きたいなあ」
「佐々木先生と巧くんからお許しが出たらね」
「ええー!お兄ちゃんからも言ってよー!」
よし、今度こそ作業しよう。