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話題、変えよう
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ーーがちゃ。
と、あたしが発狂寸前になったところで資料室の扉が前触れもなく開く。
「あー!やっぱりいた、そうたつお兄ちゃん」
高校がお休みらしい私服姿の美月ちゃんだった。
なぜ、この資料室には変人と外部生しか来ないのか。
うちの学生は、一体なにしてんだ。
……でも、助かった。
このまま宗旦狐と二人でいたら、あたしはどうなってたかわからん。
「この間は楽しかったねー!美月、またお兄ちゃんと一緒にデートしたいなあ」
と、宗旦狐の腕に絡みつく美月ちゃん。
よし、今のうちに紀要の受入作業やっちゃお。
「あれっ、なるみさん、昨日とおんなじ格好じゃないですか?」
はい、無理でしたー。
「うん、ちょっとね」
美月ちゃん、納得いかないらしい。
不服そうに宗旦狐とあたしの顔を交互に眺める。
話題、変えよう。
「そういえば昨日偶然ね、父親に会ったんだよ」
そう言うと、宗旦狐と美月ちゃんは目を見開いた。