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こいつのメンタル、鋼かよ
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「俺は、あなたのそういうところが好きなんです」
宗旦狐は平然とこう言った。
あたし、相変わらずこの男の言葉の意味がわからなくて、キレそう。
いやもう、頭、禿げ散らかしそう。
「バカにしてんですか」
あたしは若干キレ気味にそう聞いた。
「好きという言葉は、いつから貶し言葉になったんですかね」
うるせえ。
あたしにとっては、お前からのその言葉は貶し言葉にしか聞こえねえんだよ。
「そうですねえ。それじゃあ、お慕いしております、とかの方がいいですか?」
「言い方の問題じゃありません!なんで今の会話の流れで、そんなことが言えるんですか!?バカにしてるとしか思えませんよ!……もう、あたしのことは、ほっといてください」
ほんと、切実に。
その方がお互いのためになるし。
でも、宗旦狐はやっぱり傷ついたような様子を見せない。
こいつのメンタル、鋼かよ。