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言っちゃった
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「なるみさん、男っていう生き物は、好きな人には頼られたい生き物なんですよ?」
「うるさい!あたしはあなたなんてーー」
「好きじゃない!!」
そう叫んだ途端、一瞬にして辺りに静寂が訪れた。
…………言っちゃった。
つい、勢いに任せて、言っちゃった。
宗旦狐に反応はない。
というか、顔なんて見れないから、反応がわかんなかった。
宗旦狐は微動だにしない。
あたし、そおっと顔を上げて宗旦狐の顔見てみた。
宗旦狐は、「まったくもう、この子は」みたいな、そんな呆れたような笑みを浮かべてた。
と、とりあえず、怒ったり傷ついたりは、して、ない?
逆上して刺してきたり、しない?