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唐揚げおいちい

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「男性が好きそうなライトノベルはわからないんですけど…………近現代文学なら志賀直哉がおすすめです」


「へえ……そうなんだ」


あー、言っちゃった。

近現代文学専攻だった文系が近現代文学語りだすと、周りが引き始めるのは在学中もそうだったからわかってた。


相手、この上なく微妙な顔して笑ってる。

わかんねえなら聞くなよ。


それからというもの、相手は隣の幼馴染の方の会話に参加した。



ふと、この間読んだ京極夏彦の魍魎の匣を思い出す。

登場人物の木場刑事が考えてた、自分の箱の中身が空っぽなのを他人に見せたくないって感覚は、このことなのかもしれない。


結局、幼馴染、先輩というレッテルがあるから会話ができるだけで、あたしは男女関係なく誰とでも分け隔てなく会話なんかできやしない。


つまり、自尊心を保つことでその箱を守ってるんだ。


木場刑事とあたしは似てた。

だから読んでるとき、いつもどっかで「頑張れ」って思ってたし、読み終わった後も半ば泣きながら「味噌汁くらいなら作ってやんよ」ってなってた。


合コンは、これで最後にしよ。

あたしには、旦那もいるし本の中の登場人物もいるじゃん。



……うん、この唐揚げ美味しい。

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