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女の幸せとは
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「ほんとに嫌だ。おじいちゃんにはあたしから断っとくから。結婚だけが女の幸せとは限らないって」
「じゃあ、あんたの言う女の幸せってなによ」
……そんなこと、まだわかんないけどさあ。
「とにかく、一度会いなさい」
「嫌だって言ってんでしょ。しつこい!」
「あんたね、少しは親孝行してもいいんじゃないの?家にお金も入れてないのに家に住まわせてあげてんだから、それくらいの親孝行したってバチは当たんないでしょ」
……は?
なにそれ。
「今のあなたに親孝行なんてしたくありません」
あ、これ、殴られる。
そう思った途端、母の平手打ちが飛んできた。
でも、親のプライドを傷つけたあたしは、殴られて当然だと思った。
「おい」
父が一言、母を咎めるように声を発する。
「出て行きなさい」
あたしは言われるがまま、無言で端末と鞄持って家を出た。