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えっと……ムーミ◯?
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「あのね、あんたももういい歳でしょう」
母は、そう切り出した。
「はあ」
「それで、おじいちゃんとおばあちゃんも凄く心配してるわけ」
は?なにを?
「それで、一回お見合いとかしてみたらって話になってね」
「はあ!?嫌なんだけど!」
断固拒否します!!
だって、あたしまだ二十二だし、今時、三十過ぎてからの結婚だって珍しくない。
てか、結婚なんてする気ないし。
そもそもできる気すらしないし。
「まあ、見てよ。優しそうな人でしょ」
とか言って、母は見合い写真を見せてくる。
えっと……ムー◯ン?
確かに優しそうではあるけども!
「おじいちゃんの友だちのお孫さんらしくてね。大手の次期社長だって。なるみ、玉の輿になりたいでしょ?」
そりゃ、働かなくていいならそれに越したことはないけども。
いやいやいや、まだ見合いは早いって。