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あーくそ、負けた
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それからは、美月ちゃんの一人舞台が開演された。
美月ちゃんによる美月ちゃんのための独白。
「美月、パパとママが離婚してから、凄く寂しかったんです。パパがいない家って、こんなに寂しいんだって思いました」
「はあ」
あたし、曖昧に返事しながら端末アプリでザバゲーする。
にしても、こいつめちゃくちゃ硬い。
機関銃の弾、マシュマロかよ。
あ、いもってんじゃねえぞごら、出てこいや。
「お兄ちゃんは、そんな美月の気持ちをわかってくれて、毎日メールしてくれました。でも、お兄ちゃんが社会人になってからは、全然メールの返事来なくなっちゃって。美月、パパもお兄ちゃんもいなくて、ひとりぼっちで……」
「へえ」
あーくそ、負けた。
機関銃とマシンガンの弾強化しねえとだなあ。
「あの、聞いてます?」
美月ちゃん、すすり泣きながら聞いてくる。