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気が向いたらね
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「申し訳ないけど、そりゃ無理だわ」
うん、無理なんだ。
申し訳ないけど。
「どうして、ですか?」
「あたしが恋愛ごとに加担するとね、必ずその二人、別れるんだよね」
「……え」
いやこれ、マジだから。
なんか、よくわかんないけど、中学の頃は両想いになりかけの二人をよく別れさせてた。
わざとじゃないよ?でも、なんかあたしの伝え方が悪いのか、それとも振る舞いが悪いのか、二人の間をちょこまかしてると、そこから誤解が生じて、いろいろややこしいことになって、結果的におじゃん、みたいな。
まあ、それもあるけど、第一、
「朝倉先生の気持ちがわからないまま美月ちゃんに加担したら、美月ちゃんの気持ちを先生に押し付けるみたいじゃない?」
宗旦狐から告白みたいな?ことされてる以上、美月ちゃんに協力するのは、どちらにもあまりに失礼な気がする。
諦めてくんないかなあ。
「だから、お兄ちゃんから聞き出してほしいんです。美月のこと、どう思ってるか」
「そうね、気が向いたらね」
あたしは適当にあしらって、完食した弁当箱片づける。
美月ちゃんは、そこでようやくパンを一口かじった。