図々しいけど可愛いから許される。
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「あたし、もうそういう恋愛感情的なもの、全部お母さんのお腹の中に置いてきちゃってるわけ。朝倉先生はちょっと変わってるけど、いい先生だと思う。でも、それだけ」
「一緒にいたいとか、思わないんですか」
「思いませんねえ」
むしろもうちょい離れてほしいですね。
と、美月ちゃん、少し気まずそうにこんなこと言う。
「あの……さっきは、失礼なこと言ってすみませんでした」
おやおや?
急に素直になっちゃって、どうしたの。
「失礼なこと言っておいて、こんなことお願いするのも気が引けるんですけど……美月がお兄ちゃんとうまくいくように、協力してもらえませんか?」
なんとまあ……えっと……図々しい。
でも可愛い。
「図々しいのはわかってます。美月のことは、どう思ってくれても構いません。ずっと前からお兄ちゃんのこと大好きで……小さい頃から、お兄ちゃんが来てくれる夏休みが、毎年楽しみだったんです。お兄ちゃんとまた会えて本当に嬉しくって……もう、離れたくないんです。お願いします!」
ひええ、宗旦狐もこんな可愛い子に想われてんのに、罪な男だよ全く。
ちゃんと目ん玉ついてんのかよ。