12/416
合コン開始
12
昔から不思議なことに、比較的年上のおじさんとは分け隔てなく会話ができた。
友だち曰く、おじさんはもう男の人じゃないかららしい。
そういうもんなのかな。
じゃあ、太ってるあたしはどうなんだろ。
女でないとしたら……家畜か?
そんなことを考えながら、目の前にいる男どもの自己紹介を聞き流す。
名前と趣味、年齢、職業をそれぞれ言っているらしい。
女子は先輩のお友だちのゆかりさんと、渡辺先輩と幼馴染とあたしの四人。
男子もゆかりさんのお友だち+その知り合いで四人。
計八人の合コンとなった。
まあ、大勢で飲むのが苦手なあたしには既に地獄。
自己紹介は、席順であたしが一番最後だった。
あたしの番になる。
「月川なるみです。二十二歳で職業は渡辺先輩と同じく大学事務です。趣味は……読書です」
めいいっぱい明るく振る舞った。……つもり。
目を細めて口角あげときゃ笑って見えんだろ。
仕事が大学事務とか趣味が読書とか、正直いろいろと訳ありではあるんだけど、嘘ではない。
女子はカシオレ、男子は生で乾杯し、地獄のような合コンが始まった。