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心臓痛くなってきた
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椅子に向かい合わせで座って、お弁当を広げる。
美月ちゃんのお昼ご飯は、コンビニのパン二つだけだった。
「なるみさん、お弁当自分で作ってるんですよね。宗辰お兄ちゃんが言ってました」
「うん、まあ手抜きだけど」
「土曜日、宗辰お兄ちゃんと横浜に行ってきたんです。宗辰お兄ちゃん、ずっとなるみさんの話してました」
……なんか、雲行きが怪しくなってきたんだが。
「宗辰お兄ちゃん、美月といるのにずっと携帯で誰かにメールしてるんです。なるみさん、宗辰お兄ちゃんが誰と仲良しか知ってますか?」
その話の流れでそれ聞くってことは、美月ちゃんそれ完全にあたしのこと疑ってるよね?
心臓痛くなってきた。
てか、宗旦狐、二人でいるときに携帯いじってんじゃねえよ。
「……うーん、最近うちの大学に来た先生だからね。佐々木先生と柳原先生ぐらいしか心当たりないな」
「そうなんですね」