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全然やましいことなんて考えてないから
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月曜日の午後。
資料室の休憩時間は学生の休憩時間とずらしてるため、一時から二時になってる。
まあ、普段から人なんてほぼ来ないから、いつも休み時間みたいなもんだけど。
一時になって、扉にかけられてる看板を閉室にしようと立ち上がると、ノックが鳴った。
「はい」
返事をすると、女子高生が顔を出す。
美月ちゃんだった。
「こんにちは!遊びに来ちゃいました」
「いらっしゃい、美月ちゃん。あれ、今日学校は?」
「うちの高校単位制で、高三はもうほとんど取る授業ないんです。今日は午前授業でした。ーーなるみさん、お昼休みですよね。一緒に食べていいですか?」
「どうぞどうぞ」
断る理由なんてない。
あたし、素早く看板を閉室にして電気消して部屋の鍵かける。
別に如何わしいこと考えてやってるわけじゃない。
そうしないと開室だと思ってやってくる人がたまにいるから。
全然やましいことなんて考えてないから。