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くそ兄が。私はそう思いました。
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一刻も早く帰らねばならない。
そう思っても、今日は図書館勤務最終日です。
お世話になった方々に、きちんと挨拶しなければなりません。
勤務を終え、恐る恐る端末を覗きます。
朝倉宗辰:観覧車に乗りました。美月ちゃんが隣に座っていたので、車体が傾いていました。
(略)
朝倉宗辰:美月ちゃんが帰りたくないと、電話口で佐々木先生と口喧嘩しているため、少し遅くなるかもしれません。
この通知を見たとき、私は美月ちゃんをめいいっぱい応援しました。
というか、四時門限とか今時小学生でももっと遊んでるでしょう。
朝倉宗辰:お兄さんに諭されて、予定通り四時に帰宅することになりました。美月ちゃんを送り届けたら迎えに行きます。
くそ兄が。
私はそう思いました。
帰る支度をして、心の中では猛スピードでお偉いさんからパートの方々に挨拶を済ませました。