一体、なんの報告なのでしょうか
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お昼休み。
電車の中でのできごとをほとんど忘れていた私は、なにげなくまた端末を開きました。
すると、通知が十件。
今度こそ家族からだろうと思いました。
そうであってくれと願いました。
しかし、
朝倉宗辰:なるみさん、もう図書館に着いたでしょうか。俺は今、佐々木先生の家に着きました。美月ちゃん待ちです。
朝倉宗辰:今日はいい天気ですね。まずは中華街に行くことになりました。
朝倉宗辰:大きな肉まんを食べました。今度はなるみさんと一緒に食べたいです。(写真付き)
朝倉宗辰:栗を貰いました。甘くて美味しかったです。(写真付き)
朝倉宗辰:美月ちゃんが遊園地に行きたいと言うので、これからみなとみらいへ向かいます。
朝倉宗辰:着きました。休日なので、やはり人が多いです。
朝倉宗辰:久しぶりの遊園地です。これからジェットコースターに乗ります。なるみさんはジェットコースター乗れますか?
朝倉宗辰:思いのほか、怖かったです。美月ちゃんは、ずっと腕にしがみついてました。次はお化け屋敷に行ってきます。
朝倉宗辰:白装束のお化けについた血しぶきがとてもリアルでした。美月ちゃんは、終始叫びながらずっと腕にしがみついてました。なるみさんはお化けは平気ですか?残念ながら、化け狸はいませんでした。
朝倉宗辰:そろそろお昼ですね。なるみさんは今日も手作り弁当でしょうか。いつか、俺もなるみさんのお弁当が食べたいです。
正直、身の毛がよだちました。
一体、なんの報告なのでしょうか。
私は、なにも返事せず、そっと端末を机の上に置きました。