表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/416

あたしの箱の中身

101


「……なるみさんが、そう言うなら」


宗旦狐、少し複雑そうな笑みを浮かべる。


あたしがそう言わなくても、約束したんだから普通行くでしょ。





大人は無責任で、身勝手で、嘘つきだ。

子どもの頃、あたしはそう思ってた。


でも、違った。

無責任で身勝手で嘘つきなのは、大人じゃない。


人間だった。


幼い頃、絶対的存在だった父も母も、みんな人間だった。


そして、あたしもまた、人間だった。


だから、あたしは思う。

来世は化け狸になろう。

化け狸になって、人間に紛れて、心のどこかで人間を憐れんで生きていたい。


……そんな、浅ましいことを考えてる時点で、やっぱりあたしは人間だ。





「なるみさん」


宗旦狐が呼ぶ。


「なるみさんも一緒行きませんか」


「行きません」



この人は、きっと、なにも知らない。

あたしが男だけでなく、人間を嫌ってるってことや、その理由も。


でも、それでいい。

そうであってほしい。


これは、誰にも知られたくない。

あたしの、箱の中身だから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ