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いざ、処刑台へ
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「嫌なら断ればいいじゃないですか。あたしが代わりにそっち行きましょうか!」
「君が行ってどうするの。その非常勤講師、僕の大学の後輩でね。僕の推薦で入るんだよ。……君と似てるね」
確かに。
あたしだって幼馴染を紹介して、合コンのセッティングお願いしたせいで欠席できない立場だ。
十七時を告げる鐘が鳴る。
まるでこれから処刑台に向かうかのように気分が沈んでいく。
「行きたくない……」
「はよ行っといで。もしかしたらいい出会いあるかもよ」
どうせゴミみたいに見下げられるだけ。
自分の身の程わきまえろって思われるのがオチなのに。
……でも、やっぱり先輩に幼馴染を押しつけるわけにはいかないか。
「帰って寝たい」
つい本音が漏れる。
大旦那は無反応だった。
「佐々木先生も、頑張ってね」
「へい」
パソコンと資料を睨みつけている大旦那に別れを告げ、あたしは本日の業務を終了した。