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脳内暗殺日常茶飯事
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人生において、誰にでもモテ期とやらは三度訪れるという。
それ、絶対嘘だから。
あたしは内心、ケッと思いながら女性誌を棚にしまった。
埃のような独特の臭い。
所狭しと詰め込まれた本棚。
貸出カウンターにできた利用者の列。
馳け廻るガk……子ども。
休日の図書館は大抵こんな感じだった。
あたしは返却本を棚に詰め込む。
今日の夕飯はどうしようか。
お弁当のおかずになるものがいいな。
「どけデブ!邪魔なんだよ!」
気がつけば、真後ろに男が立ってた。
あー、またこいつ。
まだ生きてんだ。
あと何回脳内でこいつを消し去れば現実になるんだろう。
「大変失礼致しました」
自分で言ってて、なにが失礼だったのかわかんない。
ただあたしはここに存在してて、こうして利用者のために配架をしていただけなのにデブ呼ばわり。
デブは生きてちゃいかんのか。
いや、生きてちゃいけないのはお前だ。
そう思いながら、頭の中でひたすら男の首を絞めつけてた。
17時を知らせる鐘が鳴る。
早くお家に帰ろ。
夕飯はなにがいいかな。