47話目
打ち切りが決まった漫画のキャラクター達がどうにか物語を延命させようとするお話
「まぁ、何はともあれ町が平和になってよかった。」
自分に言い聞かせるようにつぶやく。
気を取り直して買い物でも行くか。まずは武器と防具の新調かな。あっ、いや、カードゲーム漫画になったからいらないのか。ならばとりあえず道具屋で売っているアイテムの確認でもしようかと足を向けた瞬間に自称ヒロインに突き飛ばされる。
「貴様には危機意識が足りない。」
人を突き飛ばした後の第一声がそれですか?
「ここからでも店の中が見えるだろ。中にいる店員をよく見てみろ。」
促されて見てみるが可愛い女の子が店番をしているようにしか見えない。
「愚か者め。まだわからんのか。あの娘は危険だ。」
危険?
「あの娘はな、ハーレムルートに入るフラッグだ。」
なんじゃそりゃ。
「見たまえ、あんな巨乳の店員が世の中にいると思うかね?」
いや、いてもおかしくないだろ。
「あんな、丸眼鏡にウェーブのかかったボブカットの店員がいることに違和感を感じないのか。」
あぁ、駄目だ。この人まともじゃない。
「買い物だったら私がしといてやる。お前は先に宿に戻って休んでいろ。」
なんだろう。まだ何もやっていないのに今日はやたら疲れた。もぉ休ませてもらうわ。
「良いか、私の目を避けて彼女と接触をはかろうとするなよ。もしそんなことをしようとしたらお前の名前を「ああああ」とかに変えるからな。宿は町外れにあるしっかりものの未亡人がやっている方ではないぞ。中央付近の髭おやじがやっている方だからな。間違えるなよ。」
…、思い描いてた冒険譚と違う。
あぁ、辺りが暗くなってきた。今週はこれでおしまいか。
こんな生活いつまで続くんだろう…。
好きな羊羹は栗むし羊羹