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55話目

打ち切りが決まった漫画のキャラクター達がどうにか物語を延命させようとするお話

「料理を作るぞ。」

急に自称ヒロインさんが言い出した。

「…どうぞ。」

作ってくれる事に文句もないし、手伝う気もないので適当に答える。

「何を腑抜けたことを言っておる。これはこの漫画が生き残るための策だ。お前らも協力しろ。」

嫌な予感はしていたが、やっぱりそういう話か。

げんなりしているこちらを無視して自称ヒロインさんの説明が続く。

「良いか?今の流行は異世界の料理物だ。ここは世界観が出鱈目だから異世界と言ってもさほど問題はない。後は、料理を作るだけで上手くすれば人気漫画になれるかもしれないのだぞ。ならばやるだろ。」

あー、確かに食べ物系漫画は根強いファンがつきやすいし、共感も得やすい。しかし…、

「例の異世界料理漫画は、「異世界料理」ばかり話題に上がっているけど、味わい深いキャラクターに、きちんと作りこまれた世界観と謎。その上に、モンスターという今まで単なる邪魔者でしかなかった存在に、食材という観点からも見ることによって物語と世界観に深みを持たせることに成功して流行っているんだよ。分かりやすい外側だけ真似ても無駄無駄。何か始めるんだったらもっときちんと考えてからやんなくっちゃ。」

生まれては消えていく、固有名詞だけ変えたポチポチゲーとか無駄の極みだしね。

「ふむ、確かにそれも一理ある。しかしながら、その理屈は今現在安定している大手の理屈だ。ぼーっとしていたら消えてなくなってしまう可能性の高い我々は、まず動くことがなによりも大切なはず。」

あー、なるほどね。確かにそれはあるかもしれない。挑戦者が挑戦しないってのもありえない話だからね。

「OK。わかった。じゃぁ手伝うわ。料理なんて碌に出来ないけど何をすれば良い?」

自称ヒロインさんが不敵に笑う。

「ふふふっ、任せておけ、料理はそれなりに得意だ。出来るところだけ手伝ってくれれば後はこちらでなんとかしよう。簡単、お手軽、安くって美味い料理をふるまってやるからな。」


作り方

4人分 キャベツ1つ コンビーフ1缶 ケチャップ多め 塩 胡椒 醤油 少々 お好みでソーセージやベーコン、キノコなど


1、キャベツの芯をくりぬく


2、形が崩れないように注意しながら4つに切る


3、軽く洗い大きさが同じくらいの鍋の中に入れる。


4、その中に、コンビーフ、ケチャップ多め、風味付けで醤油を少々入れる


5、2時間おきに3回くらい沸騰させる(余熱で調理)


6、塩、胡椒で味を整え完成



「出来たぞ。仕込みが楽で野菜が嫌いだとぬかすガキにもお勧め出来る丸ごとキャベツだ。どうだ、美味いであろう?この料理は素晴らしい所は、次の日にスパゲッティを茹でてあえるだけでもう1つの料理になる所だ。ひと手間で実質二食分。あるゆる意味で美味しい料理だ。まぁ、スパゲッティで食べる時にはケチャップを少し足して味を濃くする必要があるがな。」

ふむ、これはなかなかいける。煮込んだことでコンビーフの味が全体にいきわたっているし、1つのキャベツでも外側と中側で風味が違う。

「…、でも、異世界の食材で料理しないと異世界料理漫画にならないんじゃん?」


あっ、まわりが暗くなった。今週はこれでお終いか。うーん、何処で間違えたんだろう?

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