ニート君との会話@浜辺(改)
朝方になって、やっと青年は、寝いったようだ。
俺は、青年の寝てるそばでウトウトしていた。
カチャっとドアのあく音がした。いけね。寝すぎたか。
ウトウトしてたせいで、素早く出る事が出来ず、俺は青年の側で寝たふりをする。
どうか、俺の事に気づかないでくれ・・・・。無理か。
「健一、いい加減、起きなさい。あらま、ネコがいる。ちょっとどうしたの?」
健一という青年は、半分寝てるような声で答えた。
「コイツ、寒そうにしてたから、入れてやったんだ」
すまねえな。俺が勝手に入りこんだのに。
ここを根城にして、暮らすのも、悪くないかも。健一はいいやつだ。言葉も分かりやすい。
「しかたないわね。朝ご飯、ここに置いておくから。また調子悪い?」
健一は、やっぱ体の具合が悪いんだ。
布団から起き上がって、まだボーっとしてる。
健一は、茶髪は長くてぼさぼさで、ガラガラに痩せてる青年だった。
毛づくろいくらいすれよ。
「すみません、おばさん。世話になってるのに。昨夜、眠れなくて。
朝ごはんは、どうせ食べられないから、これからいいです。」
いや待て、健一。朝ごはんは大事だ。お前、これ以上痩せてどうする。
それに、俺のご飯はどうなるんだ。
「朝は今度から、お握りにして持ってくるから、ちゃんと食べる事。
それから、調子悪いなら、薬を飲む事。わかった?」
「そうそう、そのチャトラ猫。飼うなら、キャットフードを用意しなさい。」
「ありがとう、おばさん。居候が居候を抱えることになるけど」
「居候なんて、言わない事、あんたは、私の姉の息子。かわいい甥っこだから」
なかなか、シャキシャキした話し声のおばさんだった。
俺のメシはどうなるんだ。腹減った。外にも出たい。
俺は、おばさんが出て行ったあと、健一に訴えた。
まあ、”ニャービャー”としか聞こえないだろうけどな。
「チャトラ。ごはんは、後でキャットフード買ってくるから。
そうだ、今日は浜辺で釣りして調達しよう」
健一は、いそいそと支度をした。
具合が悪いんじゃなかったのか?
砂がずっと続いてて、水がある。
俺は、水に襲われそうでビクビクしながら ついてきた。
「はは、チャトラ、ここは浜辺、海だよ。さて、まず、チャトラのご飯を調達しないとな」
健一は、長い棒をふって糸を”海”とやらに、たらした。
少しすると、小さな平たい魚が糸の先についてきた。
すごい、海にいれば、メシがあたる。
俺は、さっそくニャグニャグいいながら、いただいた。美味。最高。
「はは、小さな”カレイ”だけど、朝はこれで充分だろう。」
それから健一は、仕事は終わったとばかり、砂の上でねっころがった。
「ねえ、チャトラ。僕は”ニート”ってやつなんだ。働かないでずっと家にいる。
2年前まで IT関係の会社で働いていたんけど、忙しすぎてさ。
メンタルボロボロになって、ウツになったんだ。
最初の1年間は、家族も心配してくれただけどね。
2年目になると、”ウツなんて、気持ちが弱いからなるんだ。根性で治せ”
って、父から言われてね。僕も家にいるのがイヤになって、
優しいおばさんを頼って、家出してきた。
でも、やっぱり、ここでも 僕の居場所はないんだ。
働こうと思っても、体が怠かったり痛かったり、動けない日もある。
昨日は眠れない日 だった。
昨夜は、ある計画を実行しようかと迷っていたんだ。
チャトラは、僕を止めにきたんだね」
健一の計画も俺はしらなければ、止めにきたわけでもない
それに、”ニート”という名前もあるのか?。ニーだけなら、子猫の声だ。
そうか、この”ニート”君とやらは、きっと俺らに近いんだ種族なんだ。
どうりで、言葉がよくわかると思った。