表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/20

浜の町での出会い(改)

空が、完全に暗くなる前に、俺の乗った車は止まった。


すぐ降りようとしたが、だめだ。目がまわって、足元がおぼつかない。

車って乗っただけで具合の悪くなるんだな。

しばらくして、星が綺麗に見えるころに、俺はやっと 地面に降りる事が出来た。


それにしても、ここはどこだ?

今までいた納屋やばあちゃんちとは、まったく違うニオイがする。

時々、水の音が聞こえる。

俺の縄張りは、橋を渡り、川の東側だったけど、

これは川のニオイじゃないな。


まあいい。なんだか体が冷えてきた。

付近の偵察は、今夜はやめにしておくか。それにしても腹が減った。


とりあえず、今夜の寝床さがしだ。

どこかに、夜の寒さがしのげて、人目につかない処はないか。

フラフラ歩く。煮干しのようなニオイが、ここらへんにはあふれてる。

煮干しは探したけど、見つからなかった。


今までいた、納屋のような小屋が、何軒かあった。

そこで、おれは、人のいなさそうな、暗い小屋を(明るい小屋からは、人間の声が聞こえた)

探し、出入りできるような小さな穴から、無理くり入った。


そこは納屋じゃ、なかったようだ。第一、人間が寝てる。

横向きで顔はわからなかったけど。

こりゃ、撤退だな。いい人間もいるけど、猫に石をなげる人間も多い。

お得意の忍び足で、部屋を歩き、入り口から出ようとしたが、出られない。

俺はあせった。あせって大声で鳴くところだった。ここは、冷静にならないと。

この人間は、寝てるようだから、このまま朝までジットしてる。

俺に気づいて 暴力を振るってきたら、喧嘩上等。俺も反撃するのみだ


「やあ、猫の目って、光ると綺麗だね」


突然、人間に話しかけられて、俺は飛び上がりそうなくらいびっくりした。

この人間、起きてたんだ。


「ああ、びっくりしたんだね。目が真ん丸だ。僕もびっくりしたけどさ。

逃げなくていい。僕はお前に何もしないよ。っていうか動く気にもなれないから」


その人間は、若い青年のようだったけど、元気がない気がした。

布団のそばに、ごはんとおかずが半分のこってる椀がおいてあった。

ははあ。具合悪くて食べられなかったか。


俺、少しもらっていいかな。青年。上目使いでみたけど、無視された。


オカズの焼き魚を、ちょこっとだけ食べた。いやいや、ほんの味見。

無意識のうちウマイウマイと言ったらしい。

青年が突然こっちのほうを向いた

「いいよ、全部食べても」

うわ!あせって、魚をノドから吹き出しそうになった。

青年は、また、反対側を向いた。今度は本当にねたのか?


ところで、俺は今、青年の言葉が分かった ”全部たべてもいい”って。

今夜は飯抜きかと思ったけど、ついでるぜ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ