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ただいま(改)

正直、俺は橋の上でのトラブルで、疲れ切っていた。

エサにもありついてない。それに、俺は、”ばあちゃんちか敦子おばちゃんち”

に”帰る”所で、縄張り争いするつもりはない。


そう意思表示しても、ボスは見逃してくれなかった。

ガンつけてくる。「ここは俺の縄張りだ、出てけ」とがなり立ててくる。

俺は、「すみません、すぐどきます」といい子ぶったが。

「思い出した。お前、あのチャトラだな。もう、ここらあたりに

来られないよう、追っ払ってやる」

向こうは、先制のネコパンチを繰り出してきた。


売られた喧嘩は、買う主義だ。

俺たち二匹は、追いかけあいながら、コンビニ横の空き地で

まさに、組み合う寸前、車がそばを通り抜けた。

そうだ、ここは、店に来る人間が、よく車を止める所だった。

俺もボスも 飛び上がって、お互い、離れた。


チャンス!俺は、戦いから抜け出した。

やっぱり、今日だけは、売られても買わない事にする。

さっき、ボスにひっかかれた箇所が、ヒリヒリする。

俺は、まず、ばあちゃんちを探した。


「ばあちゃん、ばあちゃん、ばあちゃん」と呼びながら、

道を歩く、視線を感じ、横をみると、家の2階の窓から、”マダラ”が

俺の事をジっとみてる。

そっか、あの白黒のマダラ猫は、ここの家の猫か。

マダラは、何か言ってるが、家の中なので、聞こえない。


”・・右・・そこ・・”ってかすかに聞こえたので、俺は先の十字路を

右に曲がった。そうすると、聞きおぼえのある声が二つも聞こえて来た。

ばあちゃん、敦子おばちゃんの声。

俺は、二人を呼びながら、走って駆け寄った。

なぜ二人が一緒にいるかは、俺にはわからないけど、

ここで二人に会わないと、冬は越せない。


やがて、二人の姿が見えた。

「あらまあ、チャトラ、チャトラじゃなの。

もう、本当に長いお出かけだったね。

てっきり、車にひかれたのかと、心配してたのよ」

「あら、おばさんも、チャトラの事しってるの?てっきり、チャトラ、ウチの子

だと思った。納屋に居たんだけど、突然いなくなってね」


俺は、二人の間をグルグルと体をこすりつけ、長い留守をわびた。


「やっぱり甘えん坊ね、はいはい、わかったから。もう、オワーンなんて

大きな声でなかない。ちょっと声が嗄れてるね。どうせ、お腹すいてるでしょ。

敦子さん、こういう事だから、私、今日は、お出かけはパス」


ばあちゃんは、俺を抱いて、来た道を逆戻りした。

「あら、おばさん、私もチャトラの母さんなのよ。一緒にパスね」


「ばあちゃん、敦子おばさん。聞いてくれ。俺は 海ってとこにいって

事故にあって、それから病院にいってそれから。・・」

俺のお喋りに、二人とも大笑いしてる。


「チャトラって、自分ではいっぱしのオス猫気取りだけど、甘えん坊なのよね。

そこが、かわいい。はいはい、もう泣かないの。ね」

「おばさん、チャトラ泣いてるの?」


ばあちゃんは、俺の頭を優しくなで、家の中に入れてくれた。

家には、”なんちゃってお嬢様猫”がいるけど、なんとか上手くやっていこう。

冬の間は、お出かけは控えめにだ。

読了ありがとうございました

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― 新着の感想 ―
[良い点]  読みました。  最後の方は読んでしまうのがもったいないと思うほどになっていました。  チャトラ。  いろいろありましたが、元のばあちゃんの家に戻れたのですね。  自分もノラ猫の話を書い…
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