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眠る私とお人形な王女様  作者: フォグブル
第一章 『眠り姫』が外に出るまで
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 【きおく】―だれかのゆめ―

 真っ黒な空から、白い雪の欠片が降りている


 まっすぐに、まっすぐに、大地へ向かって降りてくる


 耳が痛くなるほどの静寂の中、真っ白な雪が、風の無い空から降りていく



 深々と降り注ぐ雪によって、石作りのその街は真っ白に染まっていた。

 人の気配が絶えた都市の真ん中に、それはあった。

 崩れた舞台のような、石柱が円く並んでいる。それはまるで古代人の残した神殿の遺跡のようにも見えた。


 誰も居なくなった、雪と氷の白い都。

 そこにぽつりと残された遺跡の中に、白いローブを被った人影が無言で佇む姿があった。


 そして、彼らに囲まれた舞台の真ん中に『彼』はいた。


 白い吐息が漏れる口もとから聞こえる息遣いは、もはや末期の病人のものと変わらぬように思えるほど弱々しい。身に着けているゆったりとした黒の法衣は見るからに最上級の品。だがそこから覗く手足は、病的なほどに青白く染まっている。


 全身を襲う鈍い痛み、引き裂かれそうなほどの飢餓感。

 『彼』は今まさに死のうとしていた。


 そんな『彼』をただ静かに見下ろしている白い人影。

 ヒューヒューと漏れる『彼』の苦しげな呼気の音以外無音に包まれた遺跡。



 そんな重苦しい静寂の中を一人の若い女性がやってきて――


2016/7/14 改稿

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