表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

婚約者と妹が「来世で一緒になろうね」って誓いあっているけど、これ中継されていますよ

作者: 雪ねこ柳
掲載日:2026/06/19

よろしくお願いします。

「愛している」

「私も、愛している」

 

 そう言って互いに強く抱きしめ合い、想いを打ち明けあう2人がいた。

 

「私は国のため、政略結婚しなくてはいけない。わかってくれるね」

「ええ、わかってる。あなたは王子様。ゆくゆくはこの国を背負って立つ役目があるもの」

「そう。だけど、本当は全て捨てて、君と…」

「ダメよ!あなたには、全国民の命がかかっているもの。私なんかのために」

「私なんかなんて言わないでくれ。1人の幸せを守れず何が王子だ」

「…以前聞いたことがあるのです」

「何?」

「この世には『生まれ変わり』があるって」

「生まれ変わり…」

「はい、だから、私達生まれ変わったら。そう『来世』で一緒になりましょう」

「そうだな。『来世』きっと君を見つけるよ」

「待っていますね」

「ああ、絶対君を見つける。間違えるわけがない。こんなに愛しているのだから」

「アントニー王子…」

「ああ、シャルロッテ」

 

 再び2人は熱い抱擁を交わした。

 

*****

 

 自分の妹と自分の婚約者が、密会していた。

 私達、来世で一緒になりましょうねと、誓い合っている。この婚約は、国のため。だから、私達は愛し合ってはいけないの。

 でも、この気持ちは捨てられてない。だから、来世で一緒になりましょう。

 

 ……それが、放送されていたとしたら、あなたなら、どうしますか?

 王家主催の晩餐会の中、こっそり2人で庭でイチャイチャしちゃっているんですよ。

 それが何故か、晩餐会のホール内で中継されちゃっているんですよ。巨大スクリーンで。いつの間にこんなの作った?

 んで、みんな、それ見て泣いているんですよ。なんなら、結婚決めた王も王妃も、ついでに私の親も泣いているんすよ。

 

 横で私の侍女や侍従が、なんかガッツポーズ決めてるし。お前らが上映したの、バレバレやんけ。

 世の中そういう魔道具があるのはわかっていたけど、こういう使い方をするとはな!

 

 これは、積んだ。

 私こと、ミジャン公爵の娘リーアと、アントニー王子の結婚は王命で、もう1ヶ月ほどで執り行われる予定になっていた。

 でも、もう無理。

 来世まで持ち越すわけないやんけ。どう見ても、速攻これから奴らの結婚式の勢いやんけ。

 

 おそらくこれは全世界で放映されている。

 間違いない。これで私は、彼らの恋路を邪魔する敵と認定されたわけだ。すぐに決断しないと大変なことになる。

 

 私は皆が映像に夢中になっている隙に、そっと魔法で気配を消して、廊下に出た。そしてそのまま転移魔法陣で家に帰った。

 急いで着替えて、マジックバッグに荷物を詰める。そして、腰までの長い髪を胸元程度に切って、メイクで雰囲気を変える。服は冒険者の出立で。


 再び転移して、隣の街に出た。そこの広場でも、予想通り例の上映会が行われていた。

 まわりの声を聞けば、

 

「かわいそうによう。さっさと結婚させてやればいいじゃねえか」

「そうだよな。王子の婚約者ってのが、嫌だとか言ってんのか?」

「そうに違いねえ!」

 

 マジか。私が悪いことになってる。私は急いでその場を離れた。

 

 あいにくこれ以上遠くに行ける転移魔法陣は持っていなかった。夜間の馬車はない。そもそも夜の旅なんて危険極まりない。仕方なく宿をとって、その日は休むことにした。

 

 部屋に入って1人になると、涙が出てきた。その場にずるずると座り込む。


 そりゃ、あの2人が好きあっているの、わかってた。だって、目と目で会話しているんだもん。その横で、仕事の話をしている私の身になれよ。自分だけ業務連絡してて、あいつら、適当に返事しながら、目は互いをターゲットロックオン状態なんだよ? 辛かったに決まっているじゃん!

 

 そもそもこの縁談は、王家が持ってきたもので、私が望んだわけじゃない。


 王妃教育はめちゃきつかった。学ぶことが多すぎて、婚約が決まった8歳の頃から毎日勉強漬けだった。

 魔法や護身術も習った。実技も多々あった。

 実際の城の仕事、主に書類関連、慰問、視察、プチ王妃かというくらい、実際の王妃の仕事を行なっていた。その分王妃は楽してた。あんにゃろ。

 

 あまりにも忙しすぎて倒れて、前世を思い出すくらいに辛かった。前世も社蓄で、お互いの人格同士で慰めあった。前世の恩恵はそれと、口が悪くなったぐらいか。

 

 私の家族は両親と兄、弟、妹の4人兄弟姉妹。多分仲はいい方だと思う。

 私以外は。

 私以外が楽しそうに会話しているのを、私はいつも見ているだけだったから。勉強で忙しくて、公務で忙しくて。

 でもその間も時間は動いているから。みんなは私とは違う時間で、楽しそうに生きているから。

 あれは楽しかったねって、私が知らない会話を聞いて、私がどう思うかなんて、誰も知らない。考えもしない。

 

 だから、私が失踪しても、誰も関心もない。

 

 時々王子が婚約者との交流という名目で家に来ていたけど、そもそも私がいない時だったな。それで、仕方ないから、妹と会っていたと。私に仕事を預けてな。確信犯だよな。

 

 あ。なんだか腹が立ってきた。なんで私が逃げなきゃいけないのよ。

 でも、あの上映で、主役は2人になった。私は悪役。あの場にいたら、どんな目にあわされていたか、考えただけでも恐ろしい。

 

 だから、私は逃げる。

 幸い学園の授業の一環で、冒険者登録はしてある。

 前世の記憶もあるから、お嬢様ではあるが、多少の苦労への覚悟はある。

 とりあえず隣国に逃げよう。そこで、細々暮らしていこう。

 もう、王妃仕事は終わりだ。社畜王妃は辞めだ。ばんざーい。そう思うことにしよう。

 

 

 

 翌日、少し瞼が腫れていた。なんだか情けないと思うけど、仕方ない。氷魔法で軽く冷やして、フードを目深に被った。

 宿を出て、馬車乗り場に向かった。早朝でも、客は多くて心配したけど、予約なしで乗ることが出来た。

 以前公務で訪れたことのある隣国へ向かうことにした。少しは土地勘のあるところの方が気持ち的にも安心できるし。

 

 でもその前に、一か所向かうところがあった。

 

 今後どうやってる生きていくかはまだ決めていない。どうにでもなれっていう気持ちもないわけじゃない。

 

 1人はいつものことだから。

 

 でもね。

 私は2人の気持ちが、わかるところもあるわけで。

 私にもね、いたのよ。『来世で一緒になろうね』って誓いあった相手が。

 

*****

 

 護身術を教えてくれたのは、前前くらい前の元騎士団長。高齢で実技は少し自信がないと、孫を連れて来ていた。

 名前は、ラウリ・オリバス。彼は私より2歳年上。黒髪を短く刈った、年齢の割には背の高い男の子。婚約が決まった8歳の頃からの付き合い。そのまま将来は、私の護衛として雇う予定だった。

 

 元騎士団長は一代限りの騎士爵で、孫は平民。オブラートに包んで言えば、家族全員やんちゃなご一家だった。そんな環境で育ったから、本人もそれはもうガサツな男の子だった。


 普通もう少し気品のある護衛を雇わない?それかせめて女騎士とか。

 だが、気品より実力をとったと言われてしまえば黙るしかなかった。それほど私は命を狙われていたから。


 父の反勢力の貴族に過激な者がいて、時々私達家族を狙った。特にアントニー王子の婚約者である私は尚更。常に暗殺の危機に晒されていた。


 だから自分でも守れるようにと、実践形式の訓練を多々行っていた。それに勉強に慰問に・・そりゃ倒れるよね、私。

 

 でもさ、護身術の訓練、嫌いじゃなかったのよね。

 まず第一にストレス解消。体を動かすのって嫌いじゃないし。

 あとは、第二にストレス解消。大声を出しても怒られない。

 

「ふざけんな、あの野郎、人に全部押し付けやがって!その仕事はお前の分だろうー!」

「リーアお嬢、それ掛け声じゃない」

 

 時々ツッコミもあるけど、それはそれ。毎日護身術だけで良かったけどな。まあ、あとは、あいつと話せることかな。


 初めは乱暴な男の子、こわーいって思っていたけどさ、だんだんわかってきたのよ。


 あいつにしてみたら、今まで自分の周りにいた人は、全て野生児。全て脳筋。それがいきなり、か弱い女の子と出会ってさ。しかもその子を守れと言いつけられたわけだ。そりゃ戸惑うよね。


 でも、次第に仲良くなっていって、あいつが私の扱いにようやく慣れた頃、彼は私の大切な人になった。

 


 その日、訓練が思った以上に長引いた。別に私のストレスがマックスで、愚痴が多くなりすぎたせいではない。夕暮れの空、一番星が西の空に見える。

 帰り道、ふとラウリに尋ねてみた。

 

「ねえ、前世とかって言ったら信じる?」

「何それ。俺今でも大変なのにそれを繰り返すわけ?」

「そう言われたらそうかも」

「んで、俺たち前世でも会っていたのか?」

「そんな記憶はない」

「俺もない」

 

だよねえと2人で笑った。

 

「でもさ」

「うん」

「来世だったら少しは自信あるぞ」

「覚えていてくれるの?」

「おう、お前みたいなやつ、忘れられねえわ」

「あんたもね。絶対忘れないわ」

 

 そう言うと、彼は私の頭を片手で撫で回した。


「ちょ、ちょっと、髪が乱れるんですけど!」

「ははっ、ぐちゃぐちゃだな。わりぃな」

 

 そして頭をポンポン叩いた。

 

「お前が変なこと言うからだろ」

「んもー、侍女長に蹴られるわよ」

「そりゃ怖いわ」

 

 ケラケラ笑い、

 

「来世では、嫁にしてやる」

 

 小声でそう呟くと、走ってどこかに行ってしまった。

 

 

 

 あの日、少し遠くの慰問に訪れたその帰り道、奴らは襲ってきた。もう、隠れるとかどうでも良くなったみたいで、正々堂々と真正面から襲ってきた。こちらも護衛は大勢いたけど、奴らはそれ以上の人数だった。

 

「私も戦うわ」

「おう、全員死んだらな」

「バカなこと言わないで」

「大丈夫、ちゃんと助けてやるよ。俺たちの強さをみくびるんじゃねえ」

「わかっているけど…」

「リーア、まかせろ」

 

 彼も剣を持って、馬車から出ていった。それが彼を見た最後だった。

 

 援軍が到着し、私は無事命拾いをした。彼らが来なければ、私は生きていなかっただろう。

 護衛の3人が命を落とした。

 ラウリもそのうちの1人。敵の1人と崖から転落して、帰ってこなかった。


 今回のことで父は激怒して、政敵を完全に滅ぼしていた。お父様、怒ると怖い人だった。知らんかった。前前騎士団長のオリバス一族も激おこで、そっちの援軍が凄かったと聞いたけど。


 その頃には護身術の授業も終わっていたから、彼らの一族とはもう関わることもなかった。

 彼らは皆、私に優しかった。普通に話してくれた人達だった。

 もう、私を私として接してくれる人は、いない。

 

*****

 

 今、ラウリの一族に無性に会いたかった。だから私が目指したのは、彼らの故郷だ。

そこにラウリの墓もあると聞いたことがある。

 そこに行って、後は何をすればいいのか。わからないけど、とにかく向かうしかなかった。

 

 やがて馬車は彼らの住む街へ到着した。

 もう夕暮れだったが、近くの人にこの街の墓地の場所を聞いて、そこを目指した。

 

 小高い丘に教会があって、その裏に墓地があった。神父様に彼の墓の場所をお聞きして、街で買った花を持って進む。

 他の墓より少し離れた広いところに墓石があった。『ラウリ・オリバス』と刻まれている。そこに座り込んで、花を置いた。

 

「ねえ、聞こえている?私、婚約解消になったわよ。多分解消よね?破棄だったら怒るけど。私に瑕疵はないでしょ。こんなにつくしたんだから」

 

 はあ、と息を吐く。

 墓石に夕陽が当たっていた。触れると、表面がほんのり温まっている。

でも、石は石だ。何も返してくれない。答えてくれない。それでも言うしかない。

 

「妹は王子に『来世で一緒になりましょー』なんて言ってたけどさ、今世でハッピーエンド決定よね。私なんか、あんたはもういないのよ。来世なんていつの話よ。私がこのままずーっと生きて、おばちゃんになって、おばあちゃんになって、更にその後よ。どんだけ待たせるって話よ」

 

 涙が止まらなかった。でも、止めるつもりはなかった。

 

「今じゃなきゃダメなのよ。今あんたがいないと、私、ダメなのよ。今すぐ生き返って、私を幸せにしなさいよ!」

「しょーがねえなあ、相変わらずわがままなお嬢様だ」

 

 背後から声が聞こえてきた。その声はいつも私のそばにいた。ずっと、ずっと私を見守っていてくれた人の声だった。

 ゆっくり振り返ると、夕日を背に男が立っていた。手には杖を握って。顔に傷が残っていて、痛々しい。

 そんな彼がゆっくりこちらに向かって歩いてきた。片足を引き摺るように、少し斜めの姿勢で。

 私は急いで立ち上がると、彼を支えるように両手で彼の腕を掴む。

 

「なんだ、生きていたの?」

「もっと素直に喜べよ」

「だって、驚きすぎて、脳内パニックよ!」

「だわな」

 

 彼は杖を離して私を抱きしめた。私も彼を抱きしめる。

 

「すんげー顔してるぞ、鼻水ダラダラ。一応お嬢様だろ?」

「うるさいわね。あんたも一緒じゃない」

「俺はいいの。生きて帰れて、おまけにリーアお嬢を抱きしめてる」

「私だって、私だって、来世まで待つ必要無くなったんだから、いいのよ」

 

 なんだかいろんなことが起こりすぎて、私は大声で泣くしかできなかった。そんな私を抱きとめて、ラウリはずっと頭を撫でてくれた。

 

「わ、私、辛かった。誰も私のこと大事にしてくれなくて」

「うん」

「両親も兄弟も、王子だって、王家だって。仕事させとけばいいとしか思っていなくて」

「うん」

「私は王妃という役職に就くために、生きてきたんじゃないっての!」

「おう、言ったれ言ったれ」

 

 大声で泣き喚き、愚痴を言いまくった。

 やっと泣き止んだのは夕陽が翳り始めた頃か。

 

「そろそろ言いつくしたか?」

「明日、第二段やるわ」

「喉がガラガラだぞ。少し休め」

「うん」

 

 私はしゃがんで彼の杖を拾って渡した。

 

「よく無事だったわね」

「ガチで死んだかと思った」

 

 崖下の川に転落したが、運よく流れ着いて、近くの人に助けてもらったそうだが。

 

「なんか知らんけど『リュウグウ』とか言ってたな、そこ」

「…よく帰って来れたわね」

「おう、10日程休ませてもらったはずなのに、3年経っててな」

「10日でよかった」

 

 とにかく彼を無事にこの街まで送ってくれたそうだ。感謝しかない。

 

「それでな、お前に言うことがあってだな」

「何?」

 

 ま、まさかのプロポーズ?来世まで待たずに今結婚しようって?

 期待で顔が赤くなる。慌ててハンカチを出して顔をぐるぐる拭いた。

 彼の顔も赤くなった。

 そして片手で私の顔を撫でて、自分に引き寄せた。私の耳元で囁く。

 

「これ、今、中継されてる」

「……は?」

「王子の時と一緒」

「……はあ!?」

 

 これが中継されてる?ってことは何か?この時間だから、夜会でみんなが見ているってこと?

 

「はああああああああああ?」

「だよな、わかるわ」

 

 彼が俯いた。

 

「まさかこれ仕組んだのって」

「そう、うちの一族」

「許すまじ」

 

 まじかあああ。

 

 はあああとため息が漏れて、そのまま座り込んでしまった。彼も一緒に座り込んだ。

 

「こんな一族だけど、うちに嫁に来いよ」

「今言う、それ?」

「おう、今しかないわ、一応身分違いだし」

「そうだった」


 ラウリは私の顔を両手で挟んだ。

 顔を近づけてくる。そっと目を閉じて…。


 ああ、夢にまでみたプロポーズだ。

 だけど。

 だけど。


 私は思いっきり力をこめて、彼をぶん殴った。


「いてえーっ!」

「歯あ、くいしばれや」

「セリフと手が逆だろ?」

「仕方ないじゃん、夢にまでみたプロポーズだけど、違うじゃん。みんなに見られたままのプロポーズなんて嫌じゃん!」


 私は、ギャン泣きした。


 後で聞いたところ、夜会会場で、

「わかる」

 と、ほとんどの女性が、頷いていたらしい。

 王子と妹の首は、高速で何度も頷いていたらしい。


「あー、悪かった。ごめん」

「謝ればいいってもんじゃないのおおお!」


 どうも私のハートはギリギリだったようで、そこで彼に抱きついて、散々泣いたそうだ。正直あまり覚えていない。


「後で、もう一度言ってもいい?」


 ラウリがボソッと耳元で囁く。


「…後でね」


 ようやく泣き止んで、私はそのまま、寝た。

 


*****



 目が覚めたら、ラウリの実家に到着していて。

 とりあえず、一族全員正座させて、プライバシー権について、切々と語った。


 元騎士団長である、私の師匠の言い訳としては、孫が生きていたのが嬉しくて、つい私を嫁にと思って、がんばっちゃったらしい。

 やめてくれ。


いろいろあったけど、とにかく嫁に行くことは、決定した。


 アントニー王子と妹のシャルロッテも結婚。

 私はラウリと結婚。そのままラウリの実家暮らしになった。



 私とラウリの感動再会上映は、一部の人間の心を抉ったらしい。


 家族は、娘への冷たい仕打ちに対して。

 いや、愛していたよと言い訳言っても、みんな私の様子知ってたからね。誰も信じなかったらしい。


 仕事を押し付けていた面々は、周りからの冷たい視線ビームが辛くて、しばらく真面目に働いたという。


 妹は王妃教育の辛さに、涙が止まらなかったらしい。


「お姉様、こんな目にあってたの?」


 王子との間に、少々亀裂が入ったとか入らなかったとか。


 私は仕事から解放されたけど、なんだか落ち着かなくて結局は、ぼちぼちラウリんちの事務仕事を手伝い始めている。

 社畜魂は、なかなか治らないものなのよ。



 んで、肝心のプロポーズは、再度同じ時刻、同じ場所でやってもらった。

 もちろんカメラなし。なんなら、全方位に防御を張り巡らして。


「さあ、待たせたわね」

「なんか、決闘になってね?」

「あの時の感動を再び!」

「いや、もうお前、嫁じゃん」

「そうだけど、そうじゃない!」

「まあいいけど」


 ラウリは私を抱きしめた。


「俺の嫁になってくれる?」

「しょうがないわね。今度は負けずにさっさと帰ってくるのよ。私、来世まで待てないからね」

「おう」

「今、嫁に貰ってくれる?」

「当たり前だ。俺も待てねえ」


 今度こそ、キスを受け入れた。


 薄く目を開けると、彼の向こうに、夕暮れの空があった。


 護身術の訓練で遅くなって屋敷に戻る時、2人で見上げた空が今ここにある。


 これからもずっと、この景色を一緒に見て行こう。


 できれば来世も、ずっとね。


 

 おしまい

 

 

*****

   

 

   

 

おまけ

 

 後日、王子・妹と再会して。


「中継って最悪よね」

「わかる」

「みんな見られてた」

「会う人会う人、生暖かい目で見るんだ」


 3人号泣。



オリバス一族「孫が生きていた!それなら思い切ってお嬢ちゃんと結婚させよう!」

リーアの侍女たち「王子とシャルロッテお嬢様も愛しあってるから、そっちもね!」

王子の配下「どうする?」

みんな「「「全世界にイチャイチャしてるとこ見せちゃえ!」」」


プライバシーは大切です。

よい子は真似しちゃダメだよ。



読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ