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9、チェスで勝負だそうです

魔王とは読んで字の如く魔の王であり

そんな王である魔王には日々の執務が存在する


魔王が執務室で仕事をしている間


勇者含む他四人は部屋の隅で複数人対戦でもできる魔界チェスに励んでいる


「………えぃ」


「あー、私の王様が!!」


ワイワイ騒いでて五月蝿い事この上ない


「他でやってくれないか?」


魔王が出ていけと仄めかすが


えー、それじゃあ魔王様が一人で可哀相だよと声を上げる部下達


そんな事気にしなくていいからどこか行ってくれ、仕事の邪魔なんだと魔王は言うのだが全く解ったそぶりを見せない

……いや、邪魔だと解っててやっているのだろう


「魔王様も勇者さんとやります?」


「やらん」


書類に向き直り紙面上に筆を走らせ、こっちは仕事で忙しいの、と意思表示をする


「……負けるのが怖いんだ~?」


「そうなんですか?」


「チキンッスねチキン」


プチッ


仕事は大事ですが

そこまで言われたら魔王としても黙っていられない


「おい!!勇者!!」


勇者に指さして叫ぶ


「俺と勝負だ!!」




「……おー」


_________



魔界チェスは32個の駒を交互に2個ずつ動かし、敵の王を先に取った方が勝ちという巨大版チェスともいうべき代物だ

しかし、騙し討ちも作戦の一つと考えられるため王手をかけるたびに一々相手に教えなくとも良い

相手の目を欺き、いかに相手の王を勝ち取るかというのがこのゲームの勝敗を分ける鍵だ


「……ん」

先手である勇者が、まず一つ駒を進める


次に魔王、

盤上の駒が瞬く間に散開していく


……実はこの勇者と魔王はとある賭けをしていた。

もし、勇者が勝てば魔王は勇者専属の調理師になる

魔王が勝てば勇者は今すぐこの城を発ち二度と戻って来ない


後ろの三人は『魔王様負けろ』とか不敬な事この上無いことをブーブー言っているがこのさい完全に無視する。


この勝負、魔王としては何としてでも勝ちたい。


それ故に魔王は魔界チェス初心者であろう勇者に全身全霊を賭けて勝負に出た。

……大人気ないなどと言ってはいけない


勝負序盤、

張り切って勝負に出た割に魔王の駒は勇者の駒により少しずつ削られていく

……一見勇者優勢に見えるが

取られている駒は雑魚ばかり、


「ふふふ」


不敵な笑みを浮かべる魔王

明らかに相手の策に嵌まっているのは分かったが

初心者である勇者には魔王の狙いが何なのかサッパリ分からず手のうちようがない

そして、余計な駒があらかた無くなったところで


魔王の反撃が始まった


自陣のポーンが殆ど無くなり身動きがとりやすくなった魔王の駒は勇者の陣地に入り込み、使える駒を次々に奪っていく

一方勇者は、自分の駒が行く先々を妨害し身動きが取れない

そう、先程大量に取られていた駒はこのための布石


「……う、」


一気に劣勢に持ち掛けられる勇者は唸りを上げる


次々に魔王の手に堕ちる駒達、もう既に勇者の手元には使える駒が殆ど無い

手元に在るのはルーク二つにビショップ、ナイトがそれぞれ一つ

あとは全てポーン等の雑魚ばかり


「さあ、トドメだ」


最後の仕上げだとばかりに

勇者の王を追い詰める


絶体絶命の勇者、


もう既に勝った気でいる魔王だが


……しかし、ふと勇者は気づく

それまで王を守っていたビショップもどきを動かす……駒が無くなりほぼ空き地となった盤上を横切り

魔王の……王の駒を取った。


……あ、


と思ったが後の祭


「ん………んな………」


……馬鹿な!!という声も出せず

呆然と立ち尽くす魔王に


「……詰めが甘いのな」


勇者のトドメの一言

攻撃に転じ過ぎて守りを疎かにしてしまった魔王、

例によってまた呆気ない勝負の幕引きとなった。


部下達は『流石は勇者』なんて囃し立てるし、何?俺虐められてる?と負けたショックと部下からの待遇に涙を流すのだった


その後


20回に及ぶ勝負は尽く魔王の敗北に終わり

賭けに則って

勇者の命令により泣きながらクッキーを焼く魔王の姿が見られたとか。


その日の執務は結局次の日に繰り越された。


更新が遅れたぁ!!って見てる人なんか殆ど居ないけど……これからも毎日ゆるゆると更新します。

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