8、魔王様は部下に恵まれないようです
マンティーク
獅子の身体と翼を持つ誇り高き獣人
雷と風を司る魔物
ラプラサス
透明に透き通る肌を持つ人魚
氷と水を司る魔物
ファフニール
ワームを纏い操る鈍重なる巨人
炎と土を司る魔物
城を守る三人は当然の事ながら魔王にたどり着く前に戦っており
一度会っているが故に普通の人間だというごまかしが利かない
勇者との間に緊張が走り……
そして……____
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美味しそうな食事の中に異彩を放つ食材が………
「………それ……?」
¨小柄¨な少女の姿をしたファフニールが食べてる緑色のドロドロしたゲテモノを指差す。
「スライムの塩漬ですけど、食べます?」
ファフニールが勇者に勧める
「……うーん……」
見た目が見た目なだけに躊躇う勇者に
「見た目はアレだけど意外とイケるわよ」
¨褐色肌¨の勝ち気なお姉さんのラプラサスも勧め
「モノは試しだ食ってみろよ」
なんか随分¨チャラチャラ¨した格好のマンティークも後を押す
「…………」
なんだか楽しそうにワイワイと喋っているなーと魔王はその様子を見ていた。
……ってか
……なんか、仲良くなってるし………
「魔王様おかわりお願いッス」
「おい」
さりげなく魔王におかわりを要求する部下に思わず声が出た。
「?何かまずかったッスか?」
いや、自分の主に食事を作らせるなよとか、いろいろあるが。取り敢えず
「……何故、仲良くなってる」
勇者相手に戦闘体制を崩して無防備な人間体になるなんて気を許しすぎだ
「はは、昨日の敵は今日の友って言うじゃないですか」
オレは気にしませんよと
なんの事もなさそうげに言う
いや……それ逆だし
隣でスライムの塩漬を食べて新発見と言わんばかりに「おお」
と叫んでる人物は曲がりなりにも魔物の倒すべき敵、勇者なのだから
あまり仲良くなられても困るんですが
と魔王は懸念するのだが
「頭の固い宰相さんはどうにかごまかしたんなら無問題っしょ」
いや、問題だらけだから………
主に俺の身の安全的に、あと体裁的に
目でうー……と睨みその趣旨を伝えようとするが……
「どうしたんスか、そんなしかめっ顔して」
はいぃ!!伝わってない!!
そしてマンティークは今まで勇者と絡んでいた二人に間違ってるであろう旨を伝えると
「電気落とされた時は怖かったけどいい人なのに」
「こんな可愛い子を追い出すの?」
「………」
少し顔を赤らめた勇者を挟んで文句を言ってくる
ファフニールはわかったと言わんばかりに頷き、
「きっと、魔王様は勇者さんが人気者の座を取られるのが嫌なんですよ」
なんかとんでもない事を言い出したよこの子!!
「………そなの?」
「ちがっ」
「魔王様ったら素直じゃないのね、かわいい!!」
勇者の質問に否定する間もなく、後ろから抱き着いてくるラプラサス
普段から癖のある部下だとは思っていたが……自由過ぎるだろこの部下達
改めて思う……
何なの……こいつら
そして心の中で叫ぶ
もう嫌ぁぁぁ!!!!!!
魔王の苦悩は続く
勇者の出番が減ってるような気がするけど気にしない!!