6、魔王様は苦労人
………
魔王はソファで目覚めた
魔力や体力はまぁまぁ回復したが寝起きは最悪、
元凶である勇者は未だ魔王のベッドを独占している
間だ成人していないらしく、妙に幼い寝顔が憎らしい。
どうやって、この勇者を排除するかと考えている所に
廊下の方からどたどたと足音が近づいて来る
なんだ
「魔王様!!ご無事ですか?!」
慌てた顔をした宰相がやって来た
今朝になって、穴だらけの城を確認し、心配して急いでやって来たらしい
「少し派手に戦闘をしたが勇者は倒した、安心しろ」
大嘘だが
「そうでしたか……」
一安心した様子で息をつくが、何か変なものを見る様な目が
「して……その人間は……?」
しかめっつらの部下に促されて見てみれば
いつの間にやら魔王の隣に目覚めた勇者が来ていた
ちょ…おま、さっき寝てただろ!!
~~~こンの都合の悪い時に出てくるな!!
「あー……コイツは……」
まさか勇者だと言う訳にもいくまい
勇者を見れば……どうにか上手くごまかせとアイコンタクトを送って来る
無茶言うな……
……そもそもお前が出てこなければ無問題だっただろ
とは言え下手に返答して部下がこの勇者に殺られるのも不本意だ……
(コイツならやりかねない)
さてどうしたものか………と考え
取り敢えず………
「……コイツは勇者に憧れて、この城にやって来た人間だ……しかし俺の圧倒的な力に見惚れて俺の下に就きたいと懇願してきたのだ……直ぐに排除しても良かったが、まぁ生かしておくのも一興かとな」
よくもまあ、そんな口から出まかせがスラスラとでるなと、我ながら感心してしまう
「…な、しかし魔王様………人間なんぞ手元に置いてもしもの事があれば……」
ふふふ、愚問だなと魔王は不敵に笑ってみせた
「案ずる事はない、所詮は人間、例え刃向かってきたとして俺が負ける道理が無いだろ」
オスカー賞ものの演技に宰相も成る程と頷く
「はは……それもそうでした……」
………実は思いっきり負けましたけどね
と、宰相は勇者を見て訝しげに呟く
「人間、せいぜい戯れが終わるまで魔王様の機嫌を損ねぬように……な」
実は、こっちがの方が脅されてるなどとは口が裂けても言えない
「では私は残した仕事があるので……」
そう言って宰相は城の隣にある院に帰っていった
ど……どうにか、ごまかしきれた……
ゲシッ
「痛っ!!」
突然足に痛みが走る
見れば勇者が足をゲシゲシ踏んでる
「………あいつ、嫌いな」
だからって何故足を踏む
「………あと、誰が下僕」
「一言も言って無ぇ!!」
てか、確かに同じ様なことを言ったが……じゃあどうしろと!!
そして、極めつけ
足を踏むのに飽きたのか自分の足を魔王の足の上から退け
今度は魔王の袖を引っ張り廊下を指差す
「………朝ごはん」
俺は給仕係か!!??
さて、先の展開全く考えて無いぜ……どうしよう