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3、勇者はお腹が空いたようです


「う~ん………」


日もどっぷり暮れた夕方頃、勇者は目を擦りながら起きた。


「…………あれ?」


勇者はいつの間にか穴だらけになった部屋を見渡し、何故かに横たわっていた魔王を揺り起こす。


「……は……!!」


勇者に揺り起こされ

くたびれた雰囲気を出しながらも魔王は¨バッ¨と直ぐさま立ち上がり、体制を整えた。


「くく、やっと結界から出てきたか!!この時を待っていた!!今度こそお前に引導を渡してやる…!!」


魔王っぽいセリフを吐き出し、身体に残っているありったけの魔力をかき集める


「死ねぇ!!」



プスン


しかし先程の城が半壊するほどの攻撃で魔力の殆どを使い果たしていた魔王の手からは…………

エンストした車のエンジンをかけたみたく空気が抜けるような音が発せられ

放たれた魔力は勇者の前髪を軽く靡かせる程度に終わった。


「………」


「………」



「えい」


パコン


「うぎゃゃぁぁぁ!!!!!」


まるでやる気の無い掛け声と共に手に持っていた剣で魔王の頭を軽く叩くと

見た目からは全く想像出来ない凄まじい魔力が剣から流れ込み(体に悪そうな感じの)

魔王は5分間程悶絶した後、パタリとその場に倒れ込んだ……



まおうはゆうしゃにはいぼくした。


宿命(?)の対決は勇者の一方的な展開で呆気なく幕を閉じた。

そして、勇者は倒れた魔王の側に寄り止めを刺すものかと思われたが。


グーッ……


「腹減った」


「………」


勇者は腹の音を鳴らして魔王に食事を所望した。


「だ…誰が……」


ズゴン!!


顔の真横に剣が突き立てられた。

魔王はすごすごと食事所へ案内する……




「?調理師は何処だ……」


見るも無残に崩壊し、辛うじて形を保っている城内を歩き回り

(勇者が暴れ回ったからではなく主な原因は魔王の勇者への攻撃……)


部屋の半分が崩壊した食事所に到着した魔王はここに居るはずの魔物を探した。


「あのゲテモノ作ってたの……?」


………どうやら勇者は魔王に会う前、一度ここに来たらしい

ゲテモノとは失礼な

…まぁ……リザードの丸焼きやスライムの肝なんて人間から見たら気持ち悪くて食えたもんでは無いのだろうが

魔王は一応肯定の意を示す。


「……………」


クイッ


勇者の指差した先に調理師であろう物体が、先程の魔王の無差別攻撃で真っ黒焦げになって転がっていた。


あー



……これでは食事を作る事が出来ないと魔王は頭を抱えた。


………調理と言ってもここの食事は食材を切り分けて適当に焼いたようなものばかりで技術なんぞ必要無いのだが……

他の魔物に任せようにも城の中の魔物の大半が使える状態ではない。

……理由は言わずもがな……だ


今夜の食事はどうするかと悩んでいるところに

勇者の鶴の一声


「……腹減った」


発した言葉はそれだけだが何故か魔王は勇者の言いたい事が判った

目とかオーラが無言で語っている


………お前が作れと


魔王に料理を作らせる気か?!


何処の世界に魔王に飯を作らせる馬鹿がいるんだと勇者の顔を見るが



「………」



金の剣を片手に物凄く魔王の事を見つめる勇者


「ちっ」


作れば良いんだろ作れば

仕方が無いから、この銀河よりも広い心と慈悲を持つ俺が作ってやるよ!!



………決して勇者が恐いとかではなく

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