なんともない日々
素人なので、温かい目で読んでくれたらありがたいです。
「おいニラ!起きろ!行くぞ」
そう言われ目を覚ますと、狼の耳が生えた幼馴染みのにんにくがいた。
ニラ「ん…、おはよう…。」
にんにく「ようやく起きた…何度起こそうと試みたことか…」
ニラ「ごめん。」
にんにく「まぁいい、それより剣術の稽古の時間だぞ」
僕はにんにくに手を引かれ、いつも稽古をつけてもらっているホウレンさんの家へと向かった。
家に着くと、門の前には背筋が真っ直ぐで大柄な老人が立っていた。その人がホウレンさんだ。
ホウレン「遅い!何をしていたんだ!」
普段は優しいホウレンさんだけど、時間にだけは厳しい。
ホウレン「今日はもう稽古はつけん!」
そう言って家の中に入ろうとした時、
にんにく「何か代わりは無いのか〜?」と。
要求ができる立場でないことは分かってるのだろうか。
しばらくの沈黙の後、ホウレンさんからは意外な言葉が出てきた。
ホウレン「うちに上がれ、面白い話をしてやろう。」
にんにく「そうこなくっちゃ!剣術じゃニラに勝てっこないし」
それでいいのかと思ったが、家に入って椅子に座った。
ホウレン「好きに食べるといい。」
そう言ってクッキーを持ってきた。
にんにく「んで、面白い話ってなんだ??」
目を輝かせ、身を乗り出して聞いてた。
ホウレン「昔の話だ。ここに一人の英雄がいたんだよ。名前はアニス。当時では珍しく魔法を使える人間であった。アニスは優しい心を持っていて、よく人助けをしていたそうだ。
ある日、魔物…今で言うリザードマンに襲われている子どもがいたんだ。アニスはもちろん助けようと、魔法で戦った。だがリザードマンには効かなかった。魔法が使えると言っても弱かったのだ。」
にんにく「魔法なぁ…」
ホウレン「アニスは助けようと、必死に魔法を使った、だが効かなかった。気が付くと子どもは殺されていたそうだ。左腕と頭だけがその場に残ったらしい。」
にんにく「…、」
ホウレン「その日はずっと後悔した。ずーっとずっと。なぜ助けられなかったのか、なぜ魔法が効かなかったのか、あらゆる後悔が一つの結論を導き出した。自分が弱いのがいけない、と。次の日から毎日、血反吐が出ても魔術を鍛えた。大雨が降ろうが、大嵐が来ようが、何が起ころうとも続けた。そして次第に人助けより強くなることを優先し、魔術だけでは飽き足らず、剣術、弓術、色々なことを極め始めた。」
にんにく「闇堕ちルートか?」
ホウレン「そこから十何年か、自身の強さを証明しようと、魔王を封印しに行き、見事成功した。当時の王と民に英雄だと称えられた。その後、使用していた杖はアニスの出身国であるゼレニア、ここの国の中央広場の真ん中に置かれ、今も尚その杖は皆を見守っている。」
長い話が終わって、
にんにく「なんか生々しい所あったし、面白いわけではないし…もっとこう、どこをどう極めたのか、どのようにして魔王を封印したのか、面白い話ならやっぱりそこが欲しかった」
やはりにんにくには立場を考えて発言してほしいものだ。
ホウレン「長ったらしい話は苦手か?すまないね。」
ニラ「いや、興味深い話だった。」
ホウレン「それは良かった。おっと、もうこんな時間か。次は魔術の稽古の時間だろう?急がないと間に合わないぞ。」
にんにく「そうか」
ニラ「じゃ、ホウレンさんまた。」
僕らはそう言って家を出た。
魔術の稽古と言っても、誰かに教わっているわけではない。二人で特訓してるだけだ。
にんにく「よし到着」
いつも魔術の稽古をしている原っぱに着いた。
にんにくは端っこにある大きな木に的を貼り付けて、魔法の命中精度を高める練習をしようとしている。
的から5歩離れて、的に手を向けて、
にんにく「水!水!」
そう叫ぶとスプーン一杯にも満たないほどの水が勢いよく飛び出して、僕の方に向かってきた。後ろの方にいたのに。
にんにく「ん???不発か?」
ニラ「僕に飛んできた。」
にんにく「マジかごめん」
にんにくの魔法の精度は低いどころの話ではない。
にんにく「水は上手くいかねぇな、次は火といこうか」
ニラ「やめて危ない火事になる」
にんにく「そんときは水で消化すればいいだろうよ」
ニラ「君が魔法を当てようとしているうちに火は大きくなってくよ。」
にんにく「あー、火は水辺でやるか」
ニラ「そういうことじゃないんだけどね…。」
毎日のように同じ話を繰り返して飽きないのだろうか。
にんにく「じゃあ次は草だな、草!草!」
同じように手を的に向けて魔法を放つ。弱々しい茶色の葉っぱが1枚、そよ風に乗ってどこかに飛んで行った。
にんにく「お前の風魔法か?」
ニラ「違うただの風。」
にんにく「そうか そういえばお前ってあんまり魔法の練習しないよな」
ニラ「…魔法は得意じゃない。」
にんにく「んなわけないだろ?俺より上の実力はあるのにもったいない」
僕らは日が暮れるまで魔術の稽古を続けた。
日が暮れて家に帰る頃、にんにくに質問をしてみた。
ニラ「にんにくって、なんで剣術や魔術を学んでるの?将来の夢とか?」
にんにく「あ?将来なんて将来考えりゃいいだろ、俺はただ好きだからやってるだけだ」
ニラ「…。」
にんにく「じゃあ俺も聞こうか、お前はなんで習学んでんだ?」
ニラ「うん…、分からない…。」
にんにく「まぁ人が学ぶワケなんてどうでもいいけども」
ならなんで聞いたのかと、気になったけれど聞けなかった。
家に入ったら僕の親のアサツキが丁度、玄関にいた。
アサツキ「お、今日はどうだった?」
ニラ「いつも通りだよ。」
アサツキ「私はその“いつも”を知らないのだけれどね。」
僕は手を洗ったあと、自分の部屋に行った。
今日はいつもより少し頭を使ったような、そんな気がする。そのせいか眠たい。よし寝よう。
目覚まし時計を夕食の時間に設定してベッドに入った。重い瞼がゆっくり落ち…
『ジリリリリリリリリジリリリリリリリリ』
部屋中に響く目覚まし音で目が覚めた。
目覚まし時計を止めて、夕食を食べに部屋を出た。
食事をする部屋に入ると、今日も変わらず豪勢で彩り豊かなバランスの良い食事。食べるといつも通りに美味しい。美味しいけどなにか物足りない。
食べ終わってお風呂に入る。お風呂も変わらず花のようないい香りが漂っている。ボディソープやシャンプーは自分の体に合った物をただいつものように使うだけ。
お風呂から上がったら歯を磨いて眠る。
なんともない日が毎日のように続く。なんともないけど楽しい日々。だけどちょっと物足りない日々。
なにか刺激的なことがないかな……
『ジリリリリリリリリジリリリリリリリリ』
部屋中に響く目覚まし音で目が覚めた。だけどまだ眠い。
目覚まし時計を止めて寝よう。
温かい目で読んでくれました?
もしそうならありがたい限りです。もし温かくない目で読んだ人がいるのなら、もう一度、次は温かい目で読んでみてください。




