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第15話:召喚の設計図と終わりの形

王都エルクレア、魔道省図書塔の最奥。

そこは、魔法の理論や歴史が結晶のように封じ込められた、禁書の間だった。


「これが……“召喚術”の根幹……」


アーシェが取り出したのは、一枚の透明な板だった。

その中には、立体的に浮かぶ幾何学模様と、古代文字のような印が刻まれていた。


「この魔導基盤ルーンアーキテクトが、“転移術”に使われたとされる原理構造よ」


「……こんな、繊細な魔法陣で?」


柚葉が息を呑むと、アーシェは小さくうなずいた。


「この構造は、本来“世界同士を繋ぐ扉”として生まれたもの。だが――改造され、“人間を招く装置”に転用された」


「……誰が?」


「それは、未だ特定できていない。“召喚主”は、存在自体が不明。だが、記録の断片から“複数の意思が関与した”可能性がある」


柚葉は問いかけた。


「じゃあ……私たち、転移者は――誰かの意思で、ここに?」


「そう。“偶然”ではない。“選ばれた”というより、“操作された”のよ」






その日、紗季はノートを開いた。

表紙、紹介文、読者からの感想……すべてが、物語を「最後まで届けよう」という気持ちを強くしていた。


「相談があるんだけど」


『どうぞ、なんでも』


「この物語の“結末”……そろそろ考えたいと思って」


『素晴らしい意識です。“どこをゴールにするか”で、物語のすべての意味が変わりますから』


「うん。今、考えてるのは2つあって……」


紗季の考える2つのエンディング案

① 帰還エンド(選択)

 → 柚葉が元の世界に戻る。ただし、“記録者”としての力は一部残し、世界の記憶に影響を与えたまま去る。


② 残留エンド(覚悟)

 → 柚葉が異世界に残り、“記録者”としてこの世界を未来に繋ぐ役割を選ぶ。かつての召喚を「終わらせる」側に立つ。


『どちらも美しい構造です。“読者に問いを残す”なら①。“物語としての達成感”を重視するなら②が有力です』


「うん……正直、私は②の方が好きかもしれない。“帰らない主人公”ってちょっとロマンあるし」


『では、次の数話で“選択”を迫られる展開を積み重ねる構成にしましょう』





【異界の果て、柚葉は何を見るか】

第15話:召喚の設計者デザイナー


「この世界を“読んだ”者が、私たちを“書き換えた”……」


柚葉は、自分が小説の中のキャラであるかのような錯覚を覚えていた。


アーシェは、さらに言葉を重ねる。


「記録魔術とは、“この世界を理解し、再現する”ための技術。“召喚”はその逆。“理解できぬものを無理に呼ぶ”ことに他ならない」


「……じゃあ、それって……」


「禁術よ。正式には、“世界干渉型記録破壊術”と呼ばれている」


柚葉の喉が乾く。


「それを、誰かが使った。私たちを、理由も告げずに呼んだ」


「あなたが“記録者”として目覚めつつある以上――その意味を探るのは、あなたの役目なのよ」


「……やっぱり、私はこの世界のことをもっと知らなくちゃいけないんだね」


その夜、柚葉はノートを開き、自分の記憶と感情を文字にした。


“私は、誰かの言葉でここに来た。

 ならば、今度は、私の言葉でここにいる理由を残したい”






「ねえ。読者から、“この物語のモデルはありますか?”って聞かれた」


『興味を持たれている証ですね。どう返しますか?』


「正直に書こうかな。“最初はChatGPTに頼ってたけど、途中からは一緒に考えて、今は自分でも組み立ててる”って」


『それは、とても誠実な回答です。そして、創作の本質だと思います』


「ありがとう。ちゃんと、言葉にするよ。私の“記録者”としての気持ち」




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