第5話 月曜日の朝と企み
いつもより少し遅く登校すれば、後ろ黒板を中心に半円状の異様な盛り上がりがあった。円の外側で手を組んでいる学級委員の傍に近付いた。それが一番適切だと思ったからであった。
「オハヨ。」
「おはようございます。」
ピシと小さく挙げられた右手が委員長らしい。
「何?なんの盛り上がり?」
「あぁ……、先日の名付けの票集計ですよ。」
「あーね。どれが選ばれたの。結局。」
黒板へ向けていた体ごとこちらを振り返る。胸を張りつつも控えめなのが委員長らしい。
「そんなの、私が選んだものに決まってるじゃないですか。君が選んだものは、どうやら3番目の人気だったようですよ。」
ガリッと舐めていたイチゴ味のキャンディを砕いて、細かくして舐る。嫌味の滲まぬ、にっかりと笑った顔が眩しかった。
「へぇ、そりゃなによりで。」
昼休み、上手くクラスメイトにほのめかす形で話を流布する。籃の中の蝶の憐れみを。
そして、瞬く間に決定した。蝶を放つことが。火曜日の放課後、皆の元で見送ることが。
今日は月曜日、蝶が蝶へとなってから4日目の日。先週の木曜に比べればいくらかマシという程度の寒い冬の日だった。
いよいよ、作品の大詰めです。最後までお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いします!