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妹に婚約者を奪われましたが、ワタクシには“本当の幸せ”が待っていますのよ

作者: 櫂 詫人

「ヒガ・エモーサ嬢、本日をもってそなたとの婚約は解消だ」


 金色に輝く大広間の中央、ワタクシの婚約者である豚のような見た目をしたズァマ王子の声が高らかに響きました。妹のイーシャが王子の隣で微笑む姿が、光の中でぼんやりと浮かんで見えます。


 ──もともとはワタクシが立つはずの場所に。


 今日はワタクシ、ヒガ・エモーサ伯爵令嬢と、ズァマ王子との婚約式のはずでした。


 ──ああ、ついにはワタクシの婚約者まで奪おうというのね。


 瞬時に悟りました。いつもそう。何をしても妹にすべて攫われるのがワタクシの宿命。

 妹がワタクシのものを奪っていくのは、もう慣れていますわ。

 両親にプレゼントされたぬいぐるみやドレスなどの物理的なものはもちろん、数々の習い事すら、いつのまにか妹のものになってる事なんてしょっちゅうありました。

 お父様もお母様も、あの子を甘やかしてなんでも気軽に与えるのに、どうしてワタクシには冷たいのかしら。

 どうしてワタクシに断りなく妹に与えてしまうのかしら。

 ワタクシが努力して手に入れたものなのに、どうして誰もそれを認めてくれないのかしら。


 ズァマ王子にプレゼントされたのでしょうか、妹は綺麗なドレスを身に纏って、キラキラと輝いて見えましたわ。

 でも、そう、「見える」だけ。

 貧相な妹には不釣り合いで、まるでドレスのほうが主役みたいで滑稽でしたわ。まさに中身がないのに見てくれだけは整えて、それで王子と釣り合うように見せている様が強欲な妹らしくて、むしろ哀れなくらい。

 そんなもの、ワタクシにはプレゼントしてくれませんでしたのにね。


「……どうしてですか? どうしてこのような仕打ちをするのですか?」


「婚約は次女であるイーシャ嬢と結び直すことになった。イーシャ嬢はまだ社交界にも出ていないため、少し皆を待たせることになるが、そこは容赦して欲しい」


 ワタクシをいないものとするかのようにズァマ王子は淡々とこれからの事を告げます。視線を一瞬だけでもこちらに向けずに。

 こんな冷徹な人を婚約者としていたなんて。その姿を見ていっそ晴れ晴れとした気さえしますわ。


 思えば王子は最初からそうでしたわ。

 ズァマ王子と婚約したのは三年前。両親が完璧な淑女のワタクシに釣り合うのは王子しかいないと縁談を持ちかけ、なんとか必死で実を結んだというのに、王子はワタクシに対してそっけないもので。

 お茶会に呼んでも用事があるだのと来て下さらず、せっかく来てもお話は一切しません。王子から誘う時はこちらの事情を考慮しない時期ばかりで断るしかなく、それで「付き合いが悪い」などと嫌味を言われた事もありました。


 ワタクシは病弱で、すぐに体調を崩してしまいますのに、王子は気遣いなくそそくさと立ち去るばかり。酷いときには足を怪我しているのにダンスに誘ってきたりしました。今思えばワタクシに興味がなかったか、嫌がらせのためだったのでしょう。


 あまりな態度に我慢ならずついに苦言を申したら「そなたがそれを言うか」とまったく反省する様子もなく。それどころか余計に冷たくなりましたよね。こちらはこんなにも婚約者であろうと身を砕いておりましたのに。


 王子の冷遇に周りも同調し始めたのか、ワタクシについてくる者は誰一人おりませんでした。それどころかワタクシを見るなり嫌がらせを始めるのです。

 国の中心となる王子が自分の婚約者を蔑ろにしているのですもの、下の者はそれはそれは「お墨付きを得た」とばかりに追従します。

 ワタクシは王子の婚約者でありながら虐げられるものとなったのです。


 こんなに王妃になるために頑張っているワタクシを、周りは「相応しくない」と批判し、それに抗おうものなら「またワガママが始まった」とばかりに冷めた目で見、陰口を叩くのです。ワタクシは「できそこない」「妹のほうがよくできている」「どうしてこれを選んだのか」など不当な噂を流され、それを信じた周りはますますワタクシを冷遇します。


 それでもいつか王子が心変わりしてくれるのではないかと、王子が変われば皆目が覚めるのだと一縷の望みを持っていましたが、それも今日潰えましたわ。


 これも妹の姑息な手段なのでしょう。いつもワタクシの手から巧みにものを奪い取るのですもの。

 妹はワタクシの代わりになろうと常に王子と接触を図ってきました。愛がないとはいえワタクシの婚約者である王子とお茶会に出たり、何かと二人っきりで会おうとしていたのは気づいております。


 意地汚い妹。いつもいつもワタクシの持ってるものばかり欲しがる強欲な妹。ワタクシが持っていたものは最終的にいつもあの子の手の中。お父様もお母様もすっかりあの子に骨抜きにされて、ワタクシが訴えても聞く耳持たず。それどころかワタクシを悪者扱い。


 ですが、あの厳しい后教育を経験していない妹に王妃なんて務まるのかしら? きっと何も考えずにいつもどおりワタクシのものを狙ったのでしょうが、世の中そんなに甘くはありませんのに。


「妹に后が務まると本当にお思いで?」


「ああ、もちろん」


 やっとワタクシの言葉に応えたと思ったらこのお言葉ですの!?

 これはもうダメですわね。何を言っても無駄なようです。今まで甘やかされて育った妹があんな厳しい教育に耐えられるはずありませんわ!

 この国の王子ともあろう方がこんなにも視野が狭いなんて……。恋は盲目とでも言うのかしら、現実が見えてない人って怖いですわね……。


「私はそなたたち姉妹をずっと見てきた。そなたこそ、実の姉であるのに彼女の何を見てきたのだ? ……いやそなたは自分の事すら何も見えていなかったな」


 それだけ告げて王子はワタクシに背を向けます。

 もう用はないと言わんばかりの態度ですわ。ワタクシを見ようともしないだなんて。ワタクシはこんなに傷ついているというのに。


「では、失礼する」


 そうして王子と妹は去っていきました。

 ワタクシは一人取り残されてしまいました。誰も手を差し伸べてくれる者などおりません。ワタクシの周りにはもう誰もいないのですから。



 その後の事はよく覚えていません。気づいたら自室に戻ってきまして、ベッドに突っ伏して泣いていました。


 なぜワタクシばかりが奪われなければならないのでしょうか。ワタクシだって努力してまいりましたのに。どうしてこうも世界はワタクシにばかり意地悪をするのでしょう。

 親の言う事を聞いて好きでもない男と婚約し、したくもない后教育を頑張ったというのに。この仕打ちはあんまりではないでしょうか。

 どなたか、どなたか助けて下さいまし!


「ああ、可哀想なエモーサ……」


 そんな時です。ワタクシの耳に声が届きました。その声は慈しみに満ちていて、その声を忘れた事など一度もありませんでしたわ!


 そう、かの国から留学中のトビィ様! あの方は誰にも愛されず冷たくされているワタクシに唯一優しくして下さった殿方! あの優しさと思いやり、あの美貌に逞しさ、頭の回転の速さと洗練された身のこなしにセンスの良さ! それに比べたら王子なんてアリンコのようなものですわ。


 お傍におりませんけど、トビィ様がワタクシを想って下さっていることは、間違いありませんわ!

 だってトビィ様はずっとワタクシを想って下さっていましたもの。ワタクシは王子の婚約者でしたから、表立ってアプローチはしてきませんでしたが、遠回しに愛を囁いて下さいました。


「エモーサ、心配はいらない。必ず君を救ってみせる」


 ほらやっぱり!! トビィ様はいつだってワタクシの味方でした。今だってこうして心配して下さっているのですから!

 やっぱりワタクシと結ばれる運命にあるのはトビィ様でしたのね! 長年あの醜い王子への仕打ちに耐えていたかいがありました。

 これからは誰にも邪魔されることなく、トビィ様と幸せを築くのです。そう、すべてはワタクシの運命どおり……!


「娶った暁には、君を傷つけるすべての者から守ろう。だからどうか泣かないでおくれ」


 はい、トビィ様……っ! そこまで言っていただけるなら、ワタクシいくらでも待てますわ……! さあ、早くワタクシを連れ去って下さいまし!



 ***



 まただ。エモーサお姉様は、いつだって途中で飽きて、わたしに丸投げします。

 両親に頂いたプレゼント、数々の習い事、そればかりか后教育でも。


 何度「またか」と思ったことか。お姉様は昔から最初の熱意だけはあるものの飽きっぽく、わがまま放題。いつか自分の過ちに気づいてくれると願っていましたが……ついぞそんな日は来ませんでした。


 お父様もお母様もそんなお姉様を溺愛していて、何度も同じ事の繰り返し。

 そのたび少しでも嫌になったら逃げて、「お金がもったいないから」「先方に申し訳ないから」「お前が姉に教えてやれ」等々の理由を盾にわたしを強制的に後釜に入れて解決した気になって。そのたびにわたしの時間は削られ、息をつく間もありませんでした。


 それなのにお姉様の目には、わたしのほうが大切にされてると映るようで、何かと「イーシャは愛されてていいわね」「ワタクシは長女だから選択肢はない」と、誰よりも愛されて自由という名の我儘もし放題の身分で言ってきます。何度その甘えた横っ面を叩こうと思ったか。


 何でもかんでも自分の思いどおりにならなければ投げ捨てるお姉様。まさか婚約者であるズァマ殿下を一目見て好みじゃないからと突き放すとは思いませんでした。相手はこの国の王子であるのに、いつものワガママを発揮するなんて、わたしも両親も驚きました。


 流石に両親もこればかりはまずいと学習したようで、お姉様にやっと注意を促すようになりましたが、お姉様は昔から嫌な事があるとすぐに拗ねて「ワタクシ悪くないもん」と駄々をこねる悪癖があります。

 それもこれもお父様とお母様がこの歳まで諌めず甘やかしたからなんですが、案の定「どうしてワタクシが責められなきゃいけないの」と悲劇のヒロインぶりをして改善なさらず。


 殿下の婚約者になるなら義務である后教育もすぐに逃げ出して、わたしが無理やりやらされるという無茶苦茶ぶり。家庭教師も事情を汲んでは下さいましたが、「そういう非常識な家なのだ」と冷たい目を向けられるのは避けられません。針の筵です。


 わたしの私物は全部お姉様からのお下がりです。

 何一つわたしのために与えられたものはありません。ただお姉様が捨てたものを押し付けられるだけ。

 それなのにお姉様は自分が捨てたものだというのに、わたしに盗られたような素振りをします。ならば返そうとするともっと大げさに被害者ぶり「ワタクシは姉なのだから我慢しないといけませんものね」と言いますが、今までお姉様が我慢したことなどあったでしょうか。


 殿下の事もそうです。

 自分から殿下との婚約を望んでおきながら、いざ顔合わせをした途端に興味を無くして無碍な扱い。見た目はふくよかで可愛らしく愛嬌があり、それでいて思慮深く聡明で、次期王としても期待が高い方のどこがお気に召さなかったのでしょうか。

 お姉様曰く「ワタクシの運命ではなかった」そうですが、今では他国の貴族を運命と言って懸想していらっしゃるそうなので、おそらく外見が好みではなかったのでしょう。それだけで王族を蔑ろにできる思考は理解できませんが。


 殿下がお茶会に招いても仮病を使って断ったり、訪問して下さっても他に用事があると早々に退席したりと、お姉様の拒絶は露骨です。

 それでも殿下はお姉様を気遣ってお手紙やプレゼントなどの歩み寄りをして下さったのに、手紙は返事どころか開封すらせず、プレゼントもセンスがないとわたしに押し付けるばかり。


 伯爵家の娘が、どうしてここまで自国の王子を下に見る事ができるのでしょう? いくらワガママ傍若無人に育ったとはいえ、曲がりなりにも貴族の娘です。わたしですら理解している事がお姉様に理解できないはずはないのですが。


 仮病を使ったお姉様を心配してお見舞いに来て下さった時、お姉様の事で何か力になれないかと殿下はわたしにご相談して下さいました。

 殿下はお姉様に避けられている事をご存知のうえで、心から仮病を心配して下さいました。政略であっても婚約者なのだから仲良くはなれなくともパートナーとして理解しようと心を砕いておいででした。お姉様の好きなもののリサーチ、后教育でストレスは溜まっていないか、本人からは何も言えなくても身内であり妹であるわたしなら言える事があるのではないかと、いろいろな事を聞いて下さいました。


 王族相手に不遜な振る舞い、それだけで不評を買ったと婚約破棄が成立してもおかしくありません。

 現に殿下の従者や側近には良い顔をされていないのですが、心優しい殿下を尊重して何かしてくる事はありません。

 本来なら我が家の恥として自ら婚約解消を申し出て愚行の数々を詫びるものですが、お父様もお母様も「婚約解消になるほうが我が家の恥」などと自分たちの事ばかりで、「歩み寄って話し合えば理解できるはずだ」と仰る殿下のご厚意に甘えるばかり。わたしは顔から火が出そうです。すでに我が家の評判は地に落ちているのに、さらにもっと落とす気なのかと。


 お姉様から代理として殿下のお相手を押し付けられる事も多く、そのたびにひたすら謝罪するわたしに殿下は寛大な御心で接して下さいました。そして、わたしが最近困っている事や、お姉様に関する事、日々の細々とした事をよく気にかけて下さいます。

 本当に思慮深く紳士で、臣下にこんなに親身になって下さる方は他に知りません。


「そうか、エモーサ嬢はまだ足に難があるのか」


 殿下は眉を下げて憂いを帯びつつも、小さく笑みをこぼしています。


「ええ、ダンスなどはとてもできない……と」


 婚約式が控えているというのに、お姉様はダンスレッスンを嫌がっていつも足が痛いと言って仮病を使います。本当はいたって普通に歩けるというのに。

 もちろんそれだけでなく、レッスン当日になって腹痛を起こしてしまったり、熱が出たと言ってサボることもしばしばありました。

 その時は見舞いにいらした殿下をお帰しすることもあります。未だに婚約者だというのに殿下とお姉様は一緒に踊った試しがありません。それどころか一緒にいるところすらあまり見た覚えがありません。


「具合が悪い時に押しかけてすまない」


「いいえ、こちらこそ申し訳ありません」


 聡明な殿下のこと、きっとお姉様の仮病には気づいていらっしゃるはずです。

 婚約式も差し迫ったこの時期にダンスの練習ができないなんて普通であれば考えられません。仮にも王族がわざわざ時間を割いて足を運んで下さっているのです。本当ならお姉様のほうから出向いて、踊りのステップなどを教えて頂かなくてはなりませんのに、それができていないのです。お姉様のせいで。


 このままではろくにダンスなんてできるはずがありません。恥をかくのがお姉様や我が家だけならまだしも、王族に泥を塗る結果になるのです。

 お姉様は「ワタクシは本番に強いの」と言っていますが、その本番が来た試しがありません。未経験なのにいったいどこでそんな自信を培ってくるのでしょうか。たくさん練習しても尚わたしは不安で心配でならないというのに。ある意味自信家のお姉様、そういった意味では羨ましいです。


「……もし、エモーサ嬢がこのまま良くならないようであれば、婚約解消することになっている」


 その「良くならない」のは、足だけの事ではないでしょう。

 とうとう最終通達が来ました。次にお姉様が我儘を通すようなら、おそらく婚約式で告発するつもりなのでしょう。


 周囲からの我が家と姉の評価、わたしが后教育を代理で行なっていることから、婚約者としての義務を何一つ果たしていない令嬢など資格なしとして認められ、婚約解消するのは簡単でしょう。解消どころか一方的な婚約破棄でも通ります。誰もそれを批判する人はいないでしょう。


 それくらい、お姉様の所業を庇い立てする人はいない現状なのです。今まで殿下の一存でなんとか皮一枚で繋がっていたようなものです。殿下はギリギリまでお姉様を伴侶として見極めるつもりだったのです。


 わたしはただただ静かに頷くだけでした。

 王族の婚約に応えられなかった、それすら果たせなかった我が一族は末代まで笑い者とされるでしょう。今後の縁談なんてとても望めないことも。

 王族相手にすら貴族としての取り繕いができない家を、誰が扱えるでしょうか。誰が王族ですら見放した貴族と関わりたいと思うでしょうか。


「そのときは……ヒガ・イーシャ嬢、貴女を婚約者として迎え入れたい」


 ズァマ殿下の言葉に心の臓が大きく跳ねたような感覚がしました。


「……えっ!? 殿下、それは……どういう……」


 動揺を隠し切れず、声が震えます。それでも殿下はとても優しい、まるで慈しむような目で微笑んでおられました。


「貴女の話は他の貴族からもよく聞いている。いつもエモーサ嬢の後始末に奔走して、后教育も貴女がやっているだとか。そしてその評価もちゃんと聞いている。とてもよく学び、素養もあるとか」


「冗談はおやめ下さいませ!」


「冗談などではない。私も貴女と話して、接して、噂どおりだと思った。私は貴女のような方を伴侶に求めいていた。貴女にとっては変わらず姉の代わりと思われるかもしれないが……」


 嘘偽りのない目にわたしは戸惑うばかり。どうしてこれほどまでに想って下さるのかわかりません。

 ですが後釜でも無事に殿下の婚約者としての務めを果たし、后となれたならば、我が家の汚名をそそぐことができるでしょうか。このままだと落ちぶれるしかない我が家を、殿下は救って下さろうとしているのです。


「そのような事を仰られても……わたし……いえ、わたくしたち一族は王家の方のご期待に応えられていないばかりか、無礼な振る舞いばかり……」


「そうだな。ヒガ家は相応しくないと上からも下からも突き上げられている。同じ家の出という理由から貴女を良く思わない者もいる」


 お姉様のせいで「ヒガ伯爵家の人間なんかが殿下の婚約者だなんて」「どうせ碌な事しないんでしょう」「家柄しか誇るものがない」など陰口を叩かれるのはしょっちゅうです。わたし自身は事情をご存知の方からは同情的な目で見られますが、そういう人ばかりではない事も知っています。


「殿下を尊重しない貴族と関係を持とうなど、王族を軽んじていると受け取られかねません。お考え直しを……」


「しかし、このままだとヒガ家の面目は潰れ、存続も危ういだろう。貴女の家は後継者たる男児がいないのだから」


 我が家が助かるには、受け入れるしかないでしょう。けれどそこに安泰などありません。王妃という立場だけが重く責任が積み重なるのみ。お姉様のように我儘を言うだけでは済まないのは明白です。

 想像もできない程の重圧がかかることは間違いなく。

 正直、自信がないのです。姉の尻拭いしかしてこなかったわたしに務まるはずがありません。


「断られれば仕方がないが、できれば前向きに検討して欲しい。私にできる事は少ないだろうが、貴女が不自由しないようにできるだけ配慮したい」


 いつもお姉様から押し付けられ、お母様もお父様もお姉様の後始末を命じられ、自分で何かを選んできた事のなかったわたしに、選択を委ねて下さる。

 家の事を考えれば実質選択肢などあってないようなものですが、それでも殿下はわたしがどの選択を選んだとしても受け入れて下さるでしょう。


 それだけの慈悲深さと余裕さを感じさせる立ち居振る舞い。こんなお方が、本気でわたしの事を選んでおられる……? ただの気まぐれではなく、本気で……?

 ズァマ殿下の目は真っ直ぐにわたしを見つめていらっしゃいます。

 その瞳には一片の曇りもありません。本気です。わたしと真剣に向き合い、答えを求めていらっしゃる。


 ──嬉しい。


 お姉様の尻拭いするための駒ではなく、わたし自身を見ていて下さる。

 求めて下さっている。

 この時、初めて、生まれて初めて、誰かのために何かをしたいと思いました。

 こんな感情初めてでした。家のためにいいように扱われるなんて懲り懲りだと思っていたわたしがです。今まで押し殺してきた感情が堰を切って溢れて来たのです。


 けれど同時に恐ろしくなりました。わたしには何もない。

 爵位の高い貴族の生まれというだけで、それ以外は何もできません。

 殿下の后に相応しい教養も技術も何も持ち合わせていません。殿下に釣り合うためにはどれほどの時間が必要でしょうか。一朝一夕でなれるものではない事は容易に想像できます。


 わたし自身よりむしろ、両親が……とくにお姉様が許してしてくれるでしょうか。

 プライドの高いお姉様のこと、婚約を妹と結び直すなんて許さないに違いありません。自分から捨てた物ですら、わたしの手にあると「盗まれた」と認識するような性格なのです。殿下というこの国の最高権力の婚約者という立場を手放したくないに決まってます。


「貴女はいつも自分を犠牲にしてきたと聞いている。今回ばかりは周りの事は考えなくていい。私の事も。先程は脅すような事を言ってしまったが、もし縁が無くなったとしても伯爵家を守ると約束しよう」


 殿下は小さく笑んでいらっしゃいました。


「どうして、そこまで……」


「貴女を失いたくないから」


 その言葉はわたしの胸を打ち抜きました。胸が苦しいです。嬉しいという言葉では形容できないほどに苦しくて涙が出そうです。


「……少し気が急いていたようだな。まあ、あくまで可能性の一部として頭の隅に置いておいて欲しい。そもそも婚約解消するかどうかもエモーサ嬢次第だからな」


 そう言うと殿下はゆっくりと立ち上がりました。どうやらお帰りになるようです。

 まだはっきりと返事をしていない以上、引き留めるわけにはいきませんので玄関で見送ります。

 馬車に乗り込む殿下の後ろ姿を見つめながら、わたしはその場にぼんやりと立ちつくしていました。


 ──もしわたしが受け入れなければ、この家はどうなるのでしょうか。


 そんな考えが頭をよぎるたびに、殿下の優しい眼差しが脳裏に浮かびます。

 ……これは家のためなのか、それとも、わたし自身のためなのか。


「……わからない」


 今まで何の目的もなく生きてきたわたしは、自分自身の意思で決断するという事自体が初めてでした。何をどう考えていいのかわからず、途方に暮れてしまいます。


 ふと視線を下ろすと、自分の手が震えている事に気づきました。それは恐怖や迷いといった感情だけではなく、高揚感によるものだと自覚していました。

 初めて感じる不思議な感覚。胸の奥底から湧き上がるような、じんわりと温かくなる感じ。


 わたしが選ばれたのは、いつものように姉の失態を埋め合わせるためだと思っていました。

 でも、殿下の目を見たとき、その思いが少しだけ揺らぎました。

 彼の目には確かに、わたしを必要としている光が宿っていたから。

 軽蔑や同情の眼差しを向けられる事は多々ありました。けれどあんな情熱的で真摯な眼差しを受けたのは初めてです。暖かで柔らかな光に満ちた瞳は、まっすぐにわたしを捉えていました。

 殿下が口にした言葉を思い出すたびに心がざわめきます。彼の言葉が頭の中で反響して、ずっと離れないのです。


『貴女を失いたくない』


 その言葉には嘘偽りのない感情が込められていました。

 もしも彼が本当にわたしを愛しているのなら……。そう考えると胸が熱くなります。心臓が高鳴り、顔が熱くなるのを感じました。


 思えば、わたしはずっと姉の後始末に奔走して殿方どころか同年代の令嬢とさえ知り合う機会もありませんでした。

 きっとこれが初恋なのでしょう。相手は姉の婚約者でこの国の王子。本来なら叶うはずのない恋です。

 だけど、あの言葉は本物でした。彼の口から紡がれた言葉はわたしの心に響き渡り、今まで誰にも個人を必要とされた事がないわたしにとって、唯一の居場所を見つけた気がしました。



 結果的にお姉様は婚約者の資格なしと判断され、わたしが正式に婚約者となりました。

 両親はいつもの「お姉様の尻拭いをしてくれたら安心だ」という意識であっけなく了承し、お姉様は一人屋敷の部屋にこもって悲劇のヒロインをやっています。


 もうお姉様に振り回される人生は終わりです。

 わたしは、わたし自身の選択で生きていく。たとえ誰に何を言われようと、もう二度と後悔はしません。

 これからはやりたくもないお姉様の尻拭いも両親に後始末を強制される事もありません。

 わたしの人生はここから始まるのです。わたしを見てくれる愛する人とともに。



 ***



「トビィ王子、隣国からの書簡です」


「──おーおー、ズァマ王子……いやズァマ王、ついにやったかぁ」


 隣国の王子が即位式を終え、新王になった報せは我が国にも届いている。というか、向こうが手紙をくれたんだがな。どこよりもいち早く報せをくれた。

 新王ズァマとは王子時代に留学先で王族とは思えないほどの気の良さにすぐに仲良くなり、国に戻った今でも個人的に手紙のやり取りをしている。

 ズァマ王は王位継承権もない木っ端の末端王子とはいえ、俺を無下にもせず丁寧に応対してくれた聖人だ。ま、王子と年齢が近いというのもあるんだろうけどよ。


「いやー俺と同い年なのにもう王様かぁ。やっぱアイツは格がちげーや」


 見た目ちょっとだらしなさそうに見えるけど、それも周りを欺くカモフラージュなんだろう。見た目に惑わされず、偏見で判断せず、正しく彼の人となりを見極められた者しか彼に近づこうとはしない。

 俺はちょっともったいないと思うけど、そのお蔭で質の高い人材ばかり集っているらしい。本人の人を見る目もあるからだろうが、人徳ってやつかねえ。


「それなのにどーしてあんな女が婚約者に選ばれたんだか」


 ズァマ王子の元婚約者、ヒガ・エモーサ伯爵令嬢。

 思い浮かべるとぞっとする。あの女、婚約者がいる身分でありながら男に言い寄ってくる非常識な女だったからな。

 他国の王子の婚約者が、俺に言い寄ってくるなんて正気じゃないよな? たしかに俺は見目麗しく数々の女を虜にする罪な男だが、婚約者のいる女にああも迫られたことなんて一度もなかったんだが。


 俺には幼馴染の想い人がいて、その人と結ばれるために日々死力を尽くしている。

 末席とはいえ一応王族なので自由恋愛など夢物語だ。けれどそれを実現すべく俺たちは頑張った。

 俺は隣国へ留学し問題を起こさず隣国との縁を結んでくる事。彼女は有力な貴族の養女となり婚約者として相応しい地位に上り詰める事。それが俺たちの婚約の条件だった。

 彼女はそれを実現させてみせたし、あとは俺が外交を完璧にこなせば認められるのだ。──そんな矢先に、あの女は現れた。


 問題を起こさないよう王族以外には身分を偽っていたため、まさか俺が他国の王子だとは知らなかったとしてもだ。俺が留学した頃にはすでにズァマ王子の婚約者になってんだから、婚約者以外の男との接触を図るなんてありえないし、しちゃいけないのが常識なんだ。どの国でも。

 それなのにあの女は単身俺に近づいてきた。ズァマ王子の婚約者として紹介された時からずっとだ。


 ほんと何考えてんだあの女。愛しの彼女とは全然違う。

 エモーサ嬢の視線には、何か執着のようなものを感じて、それなのに俺自身を見ていない空虚なものを感じて、正直言って戸惑いを隠せなかった。躱しても無駄に食いついてくるガッツはすげえと思うけどよ。


 あの女はあろうことかズァマ王子の悪口を俺に言う。普段王子からどんな目に遭っているか、どんなに酷い冷遇されてるかとか、とにかく自分を可哀想に仕立て上げる話ばかりだ。

 そうやって同情を引く作戦だろうが、俺は実情を知ってしまっている。というか、ズァマ王子から「婚約者とはどう接すればいい?」と相談受けてる側なんだがな。

 王子言ってたぞー、やれ婚約者が誘いに応じないので誘い方に問題があるのだろうかだの、やれ婚約者が后教育から逃げ回っているだの、婚約者とまともに話ができないんだのなんだの。俺もまだ婚約したわけじゃないから上手くは言えなかったけどさ。


 アイツが経験ないわりに一所懸命婚約者を大事にしようとしていたのは知ってる。政略結婚で選ばれたから互いに情がない事はわかりきっていて、それでも国を支えるパートナーになるために、なんとか良好な関係になろうと努力していた。


 それなのにあの馬鹿女は外面だけでも仲良くしてみせる事すらしなかった。

 人のいる場所で堂々とズァマ王子の気遣いを断ったり、相手に恥をかかせるような振る舞いばかりしていた。

 外面良くても裏では冷え切ってる仮面夫婦なんてよくあるが、それすら偽装できないなんて民を不安にさせるだけだし、何より周りに付け入る隙を与えてしまう。


 やんわりと言っても聞かないので、ハッキリ注意すると幼い子どもみたいに拗ねるわ不貞腐れるわで、こんなのを婚約者だからといって相手にしなきゃいけないズァマ王子に心底同情した。それなのに自分は淑女の鑑ですみたいな顔してるから、許されるならその顔面に一発入れてやりたいくらいだった。


 ズァマ王子が「まともに話ができない」と嘆いていた理由が、今ならよくわかる。すべて彼女の空想にすり替えられるんだ。

 俺が幼馴染を想って言った「この装飾品は彼女に似合いそうだ」という言葉すら、自分への愛の囁きだと勘違いする始末だ。そんなわけねえのに。あの女の頭の中では壮大な背徳ロマンスが繰り広げられているのだろう。


 ズァマ王子の婚約式の時、あの女は「足が痛いのに王子が無理強いしてくる」と逃げてきたくせに、「なんだかとっても体調が良くなってきました……」「あら、踊るには良い曲ですわね」とチラチラと俺にダンスを誘うような目で見てきやがった。婚約者を差し置いて踊るわけねえだろうがアホか。婚約者いなかったとしても誘うわけがないけどな。


 結局あの女は婚約を解消され、その妹が婚約者についたわけだが。

 あろうことか俺の名前を事あるごとに出してたみたいだから不貞を疑われたし、なんなら俺が誘惑したんじゃないかと不名誉な噂もあったらしいが、そこはズァマ王子がきっぱりと事実を告げてくれたから助かった。

 ズァマ王子がずっと俺には約束している人がいると、それとなく伝えてくれてはいたんだけど、あの女、婚約者である王子の言葉に一切耳傾けねえでやんの。もうお手上げよ。


 アイツ甘いんだよなーと思うけど、その甘さのおかげで助けてもらってるから文句も言えねえ。俺のこの王族にしてはチャラ過ぎる態度でも嫌な顔せず、俺の人となりを見極めようとしてくれたからな。そうやって懐に入った者は見捨てず、助けようとするのがアイツらしい。


 ズァマ王子はあくまで政略結婚の枠内で婚約者を選んだ。それがあのろくでもない女で、結局その枠にすら収まらなかったけどな。

 エモーサ嬢の事は、正直言って見ていてつらいものがあった。政略結婚で愛を抱けない相手と一緒になるのはつらいだろう。恋愛結婚しようとしてる俺が言う資格はないけどさ。

 でもズァマ王子は彼女に最初から何も期待していなかったわけじゃない。愛されないけれど彼女に応える準備も努力もしていたんだ。それを拒絶し続けたのは彼女自身だ。


 一方で妹のイーシャ嬢はどうだ? 彼女はその枠を超えて、王子が追い求めていた伴侶そのものになりつつある。アイツが彼女に惹かれるのも当然だった。

 最初は妹がいると聞いてさぞかし姉と一緒で性格悪いのだろうと思っていたが、ズァマ王子直々に「彼女はそんな人ではない」と言われ、妹の噂を聞いてるとむしろその実態に考えを改め同情さえしたくなった。


 后教育から逃げ出す姉を放置どころか妹に尻拭いさせて解決した気になるなんて狂った一家だと思ったが、妹だけはまともだったらしい。そのせいで無茶振りをしてくる親や姉に良いように使われてる気が否めなくもないが。


「姉と婚約解消するのはいいけど、その代わりに妹を迎える、ってあまり良い印象は受けねえんじゃねえの?」


 友人として、目と鼻の先に控えている婚約式の事について打ち明けられた俺は、友人としての忠告をズァマ王子に告げた。エモーサ嬢が婚約式当日でも婚約者らしい振る舞いをしなかった場合、その場で婚約解消を宣言し婚約をその妹イーシャ嬢と結び直す算段らしい。

 馴れ初め的には、姉の事で色々相談しているうちに妹に惹かれていった感じだな。王子も姉を婚約者にしている手前罪悪感もあるし、一切表には出していなかったそうだが。


 最初は『政略結婚として仕方ない』という態度だったズァマ王子が、イーシャ嬢の事を話す時だけはどこか違った。その目には、ただの義務感や同情ではない何かがあった。俺にはそれが、初めてアイツが本気で誰かを求めている証のように見えた。

 まあ、誰だって愛想笑いもしてこない話も通じない冷たい婚約者よりも、親身になって話を聞いてくれる親族のほうに心許してしまうのは当然だよな。最初から逆だったら良かったのにな。


 俺も実際会ってみたけど、妹ちゃんに婚約者はいないらしいが、無闇矢鱈に男に近寄ることはせず一定の距離を保ち、執着じみた視線を投げてくることもないから、姉よりも好感度バク上がりして、ズァマ王子が惚れるのも納得しちゃったんだよね。まあ、俺には愛しの彼女がいるけど? 姉は自分の事を淑女の鑑だと勘違いしていたけど、どう見ても淑女なのは妹ちゃんのほうだ。


 それでも他者から見れば「姉がダメだったから妹にすげ替えた」「伯爵家の娘なら誰でもよかったんだろう」と、どう考えても妹への評価は良い方向へは転ばない。

 実際は姉が無能すぎて妹のほうが適正があり好ましかったとしてもだ。きっと本人もいつものように姉の後釜に入れられたと思うだろう。


「このままなら間違いなく伯爵家の信用はガタ落ちて失脚する。お前の事だからそれを助けたいんだろうけど、妹ちゃんからしたら選択肢はない状態だし、相変わらず家の存続のために人身御供になるようなもんだぜ」


「ああ、わかっている。これは私の我儘なんだ」


 俺の言葉にズァマ王子は静かに頷いた。俺の言わんとしている事は理解してもらえたようだが、どう考えているかはわからない。


 俺みたいな奴に言われなくても、本人が一番よくわかっているし、周りからも言われただろう。それでもどうしても貫き通したいのだ。

 わかる。俺も身分違いの幼馴染と結ばれたくて無茶振りをこなしてるから、その気持ちはめっちゃわかる。俺は応援してやりたい立場だ。自分の事を抜きにしても、ズァマ王子は良い奴だから幸せになって欲しいしな。


「愛のない結婚だと思われても構わない。私は共に生きるなら彼女と生きたい」


 政略結婚で愛どころか興味すらよこしてこない女に尽くし、本気で惚れた女には今後どんなに尽くそうとも後釜だと思われるって報われなさすぎだろ……まあ双方愛もなく協力も期待できないよりかはマシだろうけどさ。妹のほうは愛がなくても支え合う事はしてくれそうだし。


「……俺はお前のこと応援してるからよ。もし何か困った事があったらいつでも呼べよな」


「ありがとう、トビィ」


 そうして晴れてズァマ王子は無能な婚約者と決別し、新しい有能な婚約者との婚約式を果たした。

 一日で婚約破棄と婚約式を行うなんて例を見ない事だったので国中が大騒ぎになったようだ。これから大変だぞぉと後方支援者面しつつも留学期間も終わったので帰国したが、どうやら俺の杞憂だったみたいだ。

 もともと二人とも努力家で、正しくそれを評価できる連中が周りにいたしな。今後も何があってもあの二人なら乗り越えられるだろう。


「俺も負けてられねえな!」



 ***



 妹のイーシャがズァマ王子に選ばれてからというもの、家中の注目があの子に集まっている。あんな身なりでも一応は王子だものね。肩書に目がくらんだ妹らしいわ。


 そもそもワタクシがいなければ、イーシャだって埋もれていたはずなのに。ワタクシに感謝の言葉くらいないのかしら。……いえ、あんな男の伴侶にならなくて済んだのですもの。今回ばかりは見る目のない愚かな妹に感謝しなくちゃですわね。


 地獄のような后教育からも解放されて、豚男の婚約者という呪いからも解放されて、あとはトビィ様の求愛と言う名の救いを待つだけですわ。

 ふふ、ワタクシを救うためにトビィ様が白馬に乗って戻って来て下さるのですわ。そして自国からたくさんの兵を従え、ワタクシをより輝く未来へ連れ去って下さる。

 ワタクシは今度こそ誰よりも幸せになるのですわ。



 ***



 トビィ王子が念願だった幼馴染との婚約が無事に認められたと報告が届いた頃、新王ズァマと王妃イーシャの生活も安定したものとなり、第一子の誕生も近いと国民が浮足立っていた。


 ある者は束縛から解放され新たな門出を。

 ある者は真に愛せる人を手に入れ頂点に立ち。

 ある者は往年の誓いを果たし添い遂げ。

 ある者はつらい現実から逃れ誰にも邪魔されることなく幸せな夢を見続けた。

 これは、それぞれの求める幸せを掴んだ四人の物語。

最後までお読み下さりありがとうございました。

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とても面白かったです。イーシャ嬢が幸せになってよかったです
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