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2

由紀と優香は、810階の鳩部屋へ移動した。


ドアには、「鳩部屋」とかかれていた。


「ここかなぁ?」


「多分そうだよ。鳩の絵だし」


 優香は意を決してノックをした。


 中からは何の音もしなかった。


 もう一度、ノックをしてみるが、やっぱり音がしない。


「留守かな?」


「あけてみる?」


 由紀は、ドアを開けた。


 だが、中には人の姿は無かった。


「誰もいないね」


「うん」


 周りを見ていると、突然目の前に何かが飛んできた。


「うわぁ! 鳩だ!」


「きゃー」


鳩は、優香の服をクイクイ引っ張ると、なにやらバッチを渡した。


「これを、つけろと?」


 鳩は、優香の言葉に頷いた。


私と、由紀は、鳩から渡されたバッチをつけた。


『あーあー』


 つけた途端、さっきまで「ぽっぽ」と鳴いていた鳩が話し出した。


「うわぁ! 鳩がしゃべった!」


『やかましい人間だな』


 鳩は、羽根で顔を隠した。


『その、バッチは鳩と人間が話すテレパシーを発信しているのじゃ』


「この、バッチもらえるの?」


「優香ちゃん。せこい……」


『おぬしら……何しに来ておるんじゃ』


 鳩は、優香のホッペを羽根で叩いた。


「いったいなぁ。鳩のくせに羽根でたたかないでくれる? まだ20歳のピチピチなお肌が台無しよ!」


「鳩さん……お顔怖いですわ。話を戻しませんか?」


『それもそうじゃな。私は、ハートンじゃ。鳩の手伝いの店長をしておる。』


「川上優香でーす」


「佐藤由紀と申します」


『では、二人はアリスくんに仕事の内容をきいてくれ』


「はーい」


『アリスくん!』


どうみても、同じ鳩にしか見えない鳩がこっちに歩いてきた。


ここで、働くには、まずどうみても、鳩の見分け方が必要だと思った。


『なんざます?』


 アリスの話し方に、優香は思わず吹き出してしまった。


『これ! 何を笑っておる! 最近の若い人間はこれだから困るんじゃ。そう、アリス君。この二人が新しいバイトじゃ。頼んだぞ』


『かしこまりましたざます』


「よろしくおねがいします」


『二人とも、こっちにいらしてざます』


「アリスさん」


 由紀は、アリスを突然呼び止めた。


『由紀さんなんざます?』


「これ、お近づきの印に作ってみたんですが、受け取ってくださいますか?」


由紀が渡したのは、赤いマフラー。


そう。由紀は、見分けるために、マフラーを作ってきていたのだ。


『まぁ! ありがとうざます』


アリスは、早速つけた。鳩にマフラー。少々違和感はあるが、これで見分けれる! 


優香は由紀を見るとブイサインをした。それにしても、いつの間に由紀は用意していたのだろう?という小さな疑問は残るが、深く考えないのが優香の長所ともいえるのだ。


『では、二人には、仕事の内容を教えるざます。毎日リストが届くんざます。二人は、そのなかから、3名ずつ手紙を渡してほしいざます。無事扉に入るまで、見届けていただくから、よろしくざますね』


「見届けるとは?」


『中には、未練がある人がいるざます。そういう人には、未練を断ち切ってあげてほしい。鳩の私たちじゃ、なかなか開いてくれないざますからね』


「わかりました」


「やれるだけ、やってみますわね」


『では、このリストを渡します。給料についてですが、ここは時がないざます。だから、一人につきスタンプが一つ。こちらに入所が確認されたらつくシステムざます』


「スタンプってなんか面白くない?」


「うんうん。お得な感じ」


 優香と由紀は、これから始まるバイトにドキドキわくわくしていた。


『では、たのんだざます』


 優香と由紀は、鳩部屋を後にすると、長く大変な仕事と心から思う体験をすべく、仕事へと向かっていった。

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