僕のかわいい妹②(クリフォード視点)
3人共ニコラがバリヤーと呼ぶ魔法ができるようになった頃、父上からニコラの防御魔法について尋ねられた。メイヴィスの護衛についている騎士達が、僕らの魔法を熱心に見ていたから、彼らが報告したんだと思う。
「ニコラの防御魔法は素晴らしいです」
攻撃魔法をまだ使うことができない僕らでも十分に自分の身を守ることができる可能性がある。
そう答えると、
「そうか。魔法を使える騎士が身につければ、実戦の場でも十分に機能する可能性もあるようだな」
父上も、騎士達から聞いた話である程度のことはわかっているみたいだ。
だけど、
「父上もご覧になったらいいのに」
自分で見たら、すぐにわかると思う。
「む。確かにそうだな」
父上も僕の言葉に頷いた。
そんな会話の次の日、父上は、早速、
「今日はお父様が騎士の代わりに一緒に行くよ!」
宣言した。
すると父上の宣言を聞いたニコラが、
「……?きししゃんはこにゃいの?めいのけいびだいじょぶ?」
騎士さんが来ないのか、メイヴィスの警備は大丈夫なのかと聞いたのには驚いた。そうか、ニコラは知らないんだ。 ニコラのセリフに、父上は、
「ニコラ……」
がっかりと項垂れている。そんな父上の様子にも、ニコラは、
「おとうしゃま?」
不思議そうに首をかしげている。
だから、
「ニコラ」
僕はそっとニコラの肩に手を置いた。
「おにいしゃま?」
「お父様は、お母様と一緒に魔物の大量発生を制したことがある英雄なんだよ」
不思議そうに見上げてくるニコラに教えてあげると、
「しょうなの!?しゅごい!」
ニコラは素直に感嘆の声をあげた。
すると、すぐに父上が、
「そうだろう、そうだろう」
と立ち直った。続けて、ニコラが、
「おみしょれしました」
おみそれしました、と父上に伝えると、
「うんうん。お父様も中々凄いんだよ」
父上はますますご満悦になっている。……意外にと言うべきか、父上は単純なところがあるんだよな。
ニコラが目をキラキラさせて父上を見上げると、父上は、
「では、行こうか」
と張り切って歩き始めた。父上がいるのに他の護衛は必要ないから、一緒に行くのは父上1人だ。
シル様の広場で、最初ニコラは自分が父上に魔法を披露しようとしたけど、ハヤテに僕が見せたほうがいいと思うと機先を制されて、ちょっと不満そうにした。でもすぐに、
「でぇは、にいしゃま」
と僕に手を差し伸べて譲ってくれる。だから、僕が代わって魔法を披露すると、父上は少しの間観察した後、感心して褒めてくれた。
だけど、
「ありがとうございます。でも元々はニコラが考えついたんだ」
僕が思わず苦笑しながら答えると、父上は、
「そうなんだよなぁ」
僕の言葉に頷きながら、ニコラを見た。
すると、ニコラは、
「ばりゃー!」
と無詠唱ではなく、バリヤーと唱えて魔法を展開させた。それを見た父上は、その詠唱の短さに驚きつつ、
「……うん、ニコラもすごい」
ニコラのことも褒めてくれた。
すると、ニコラは、
「めいも!」
メイヴィスもできるとアピールした。メイヴィスは、そんなニコラに一瞬戸惑ったような表情になったけど、ニコラがぜひ!と力強く頷くと、
「すきとおりしバリヤーよ、わがまえにあらわれわれをまもれ!」
バリヤーを張ってみせてくれた。
「これまた見事だ!」
父上が、メイヴィスのバリヤーにも感嘆の声をあげると、メイヴィスは嬉しそうに照れくさそうに小さく微笑んだ。……2人とも可愛いなぁ。
「3人とも素晴らしいな」
父上は、僕ら3人のことを褒めてくれた後、
「それにこのバリヤーという魔法は騎士たちの役にも立ちそうだ」
と続けた。
そう、それを見極めるのが今日の父上の目的なはずだ。シルヴェストル様は、僕らしか使っていないから検証していないとはいえ、自分の魔力を上回る攻撃は防ぎきれないとおっしゃったけど、父上が、
「それでもある程度魔法を防ぐことができますし、それができない場合でも物理的攻撃を防ぐことができるだけでもかなり違います」
と言うと、
「うむ。……確かに有益であろうな」
納得された。
そんな2人の会話を他人事のように聞いていたニコラに、父上は、騎士たちに教えてあげてくれるかと聞いた。もちろんニコラは、喜び勇んで、
「あい!」
と父上の質問に元気よく手を挙げて答えた。だけど、僕には不安があった。
「ニコラのバリヤーを見て、騎士たちはわかるかな……?」
その不安を僕が口にすると、その場の人間も精霊も妖精もグリフォンもフェンリルも皆がニコラの方を見た。
そして、
「無理だ」(無理だ)
メイヴィス以外の皆が、口を揃えて言った。ちなみにメイヴィスも頷いている。
「ひどょい!」
とニコラはいったんは抗議したものの、すぐに、
「……たしかに、しょうかも」
不本意そうにしながらも頷いた。
そして、
「にいしゃま、たにょんだ」
と言ったのを、
(クリフォードに頼んだって)
ハヤテが通訳してくれて、僕は、
「わかった」
笑って請け合った。
こうして、僕らは、騎士団に行ってニコラの防御魔法を教えることになったのだった。
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