②
「皆よ、よく見て欲しい」
従者と騎士見習いを自らジオス家のテントの中に密かに集めた七条は、水晶でできた回路をとりだし、青い鉱石を嵌め込むとそれに手を当てて声をあげた。
「装天!」
一瞬、水晶に稲妻が走ったかのように見えると、回路は大きくその身を変えて水を滴らせた。
皆、おお、と声を上げる。源上もその一人だった。
「これは回路と我が身が共鳴してできるもの……新たな結晶生物となった我々は水晶の回路と共鳴することで奇跡を起こすことが可能になった。結晶質が共鳴し合うのだ」
「すごいです、七条様。まるでレッセイ・ギルドだ。レッセイ達に是非みせたいものです」
「その話だが」
七条はじろりと皆を見回して、
「私はこの世界の真実を知った。救世主は実は――悪魔だったのだ」
七条の突然の発言に場がざわめく。源上も不可解な顔をした。
「これは当人の口から発せられた事実だ。よくきいてほしい」
そういって七条はレッセイ・ギルドがこの世に結晶世界をもたらしたカガクシャの末裔であることを話し始めた。
最初は半信半疑だった者達も、次第に七条の熱を帯びた説明に聞き入る。
「わかるか。我々人類は長いこと奴らのせいで死の淵をたどってきたのだ。このままではロサが危ない。何より我々の王、アルタ様を危険にさらすのだ!」
レッセイが存在する以上クリスタリスは消えない、と前置きし、
「我々はアルタ様を、ロサを守る――今こそ、欺瞞で人類に血を流させ続けた奴らに鉄槌を! レッセイ・ギルドの罪に罰を! それこそが真の平和をこの世界にもたらすのだ。我々は我々の手で、安寧をつかみ取らねばならない。違うか!? このままでは我々は滅ぶ!」
ロサよ永遠なれ! そう言って七条は拳をあげた。
周囲もロサ、ロサ、ロサ・エスファナ! アルタ様万歳! と声を上げた。
俺たちは騙されていたのか。許してなるものか!
人々は怒りに震える。
しかし源上はその様子に戸惑いを見せていた。
「奴らは明日の朝、出立して逃げるつもりらしい――悪魔を逃がすな!」
これから奴らを「狩る」。そう言って七条は回路を見せた。もう怖いものはない。回路技術も得た。
これからは我々がすべての頂点に立つ――松明と武器を持て、と七条は叫んだ。
「悪魔狩りだ。すぐに出かける――異論はないな!」
人々はおおお! と拳をあげた。七条から真実を告げられ、いやがおうにも彼らの頭は沸騰していた。人類の敵、ロサの敵、そしてアルタを害するものは弑さなければならない、と。
「我々だけで速やかに行う――各自武器を持って門の前に集まれ!」
いいな源上。
恨みの目でそう問われて、源上はびくりと肩を震わせ、頷いた。
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