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王太子様に悩殺宣言したら溺愛されました 〜お手をどうぞ、僕の君〜【スピンオフ&完結】  作者: 春風悠里


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1.ヨハネス悩殺計画

 気付くと私は、乙女ゲーム「王立学園の秘密の花園」の公爵令嬢、ライラ・ヴィルヘルムになっていた。


 どういうこと……。


 豪華なベッドの天蓋を見ながら、先ほどまでの出来事を思い出す。


 私の名前は、藤咲綾香。

 妊娠中に冷えた関係になってしまった夫と、車の中で会話もなく義実家へ帰省している最中のことだった。

 つわりで常に船酔いのような状態にも関わらず嫁の仕事だと言い張られ、断ることも許されずに行くことになった。


 ……私は死んだのね。

 最後に覚えているのは、高速道路を逆走してくる車だ。


 せっかく宿ったお腹の中の命まで失ったことは悲しい。赤ちゃんの心音を確認もできていただけに……喪失感も大きい。

 

 でも……。

 

 この世界でのライラの記憶が、少しだけその衝撃を和らげてくれる。


 ライラは、ゲームの中では悪役令嬢だった。

 学園では早々に婚約者である王太子ヨハネス・ブラハムがヒロインであるメルル・カルナレアに惚れてしまい、それに気付いた彼女は辛辣な言葉をメルルに浴びせていた。


 メルルは、持ち前の健気で優しい気質でそれを受け入れ、傷つきながらもじっと耐え……次第に守ってくれるヨハネスに惹かれる気持ちを抑えきれず、躊躇いながらも愛を育んでいく。


 まさに王道ストーリー。

 しかし、ライラの立場に突然立たされて思う。

 

 それって理不尽ではありませんか……?

 

 ――と。

 ヨハネスがメルルに惹かれるまでのライラは、悪役令嬢ではない。少しプライドが高い、どこにでもいる公爵令嬢だ。ヨハネスの妻に相応しい女性であるために、精一杯自分にできることを積み重ねてきた。


 前世で迎えたばかりのヨハネスとのベストエンドが……色褪せていく。

 つまらないものに思えてくる。


 なんで幼い頃から頑張ってきたライラが、ポッと出のヒロインに好きな男の子を奪われなきゃならないのよ!


 そんな思いが、先ほどまでの私の人生を客観視させてくれる。

 綾香とライラが……融合していく。


 ――もう、藤咲綾香としての人生は、終わってしまったのね……。


 嬉しいことは、一つだけある。

 ここに来た瞬間、あれだけ辛かったつわりが消えた。常に何かが迫り上がって、吐こうと思えばいつでも吐けます、という気持ち悪さを微塵も感じない。


 ――今のクリアな脳なら、冷静に考えられるわ。


 この世界での私は、十五歳だ。

 来月、十六歳になる。

 王立学園の入学試験は既に終わり、合格発表待ちだから必ず受かるだろう。


 婚約者のヨハネスとは当然上辺だけの関係しか築けておらず、学園に入学してしまえば、ヒロインのメルルに彼が惚れてしまう。

 私が改心して悪役にならなかったところで、それはきっと変わらない。


 もう……、時間がなさすぎる。


 ヨハネスがメルルとベストエンドを迎えれば、私は婚約破棄されて身を隠すように独り身で隠居生活。他の人とメルルが結ばれても、メルルへの恋心を引きずっているヨハネスとの愛のない結婚生活。

 どちらの未来も、受け入れ難い。


 ――愛のない夫婦生活は地獄だ。

 

 前世での夫との関係を思い出す。

 体調が悪いからと休んでいれば妊娠は病気ではないんだから怠けるなと罵られ、掃除もできずに荒れていく部屋に帰る気すらしないと言って、夜も遅くなり休日も家にはいなかった。

 きっと……浮気されていた。

 

 そんな事態を避けるには……。


 残り一回の、ヨハネスとのお茶会。

 私の、十六歳の誕生日パーティー。


 このたった二回のうちに、揺るぎがないほどに、ヨハネスを私に惚れさせなければならない。


 ――メルルは可愛い。


 最近ヨハネスルートをクリアしたばかりだから、身に染みて分かっている。

 あの子に入学後、ヨハネスの心を奪われないために私にできることは――、ただ一つ。


 ヨハネスを、大人の色気で悩殺する……!!!


 たった二回のチャンスで、それを可能にするにはどうしたらいいのか……。私は公爵令嬢だ。はしたないことは自重しなければならない。


 いきなり脱ぎだしたりするのは、まずい。

 ドン引きされて終わりだ。


 その中で、確実に悩殺するためには……。


 今は夜中だ。

 なぜか起きたら私になっていた。

 朝まで時間もあるし、なんとか考えよう……。


 かろうじて二十代だった私の実力で、ヨハネスを完膚なきまでに、誑かしてみせるわ!!!


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(2023.10.27より)

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