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第16話 仲間

こちらの作品は、小説サイト「カクヨム」の方で最新話を更新しております。

是非そちらでもお読みください。

 ゴールドゴーレムを40分かけて討伐し、素材を回収した俺達は洞窟を出ていた。


「いやぁ大量大量! リオの能力はすげぇな!」


「帰るまでがクエストだ。荷物も多いし気を抜かないでいこう」


 スズネは相変わらず真面目だな。素材がパンパンに入った袋を抱えた3人だ。警戒するに越したことはない。


 だが、周囲を警戒する前にはっきりさせることがある。


「シズル、荷物を置け」


「どうしたんだ? オレは疲れてねぇぞ?」


「いいから」


 言う通りに荷物を置くシズル。


「飛べ」


「あん? なんで飛ばなきゃいけねぇんだよ」


「いいから飛べ」


「まさか……オレが鉱石を盗んだと思ってんのか? おいおい、オレ達仲間だ——」


「飛べ」


「……」


 サッ。


 あ、逃げやがった。思った通りだ。


「すまないスズネ、少しの間荷物を見ていてくれるか?」


「わかったけど、遅くなるなよ? 日が暮れそうだしな」


 さて……


 説教だな。


 ——————————————————————


「ふぅ……どうやら撒いたようだな。とりあえずここに埋めて……後で取りにくればいいだろう。あとは急にトイレに行きたくなったって適当な言い訳を——」


 ガシッ。


 俺は後ろからシズルの頭を掴む。


「シぃズぅルぅさぁぁぁぁぁん?」


「……」


「盗みは良くないよなぁぁぁぁ。それに忘れたか? 俺のAGIの数値を」


「……」


「少し考えればわかることだよなぁぁぁぁシズル。何か言いたいことはあるかぁ?」


「……スミマセンデシタ」


「わかればいいんだよシズル。さ、荷物持ちの仕事が待ってるよ」



 ——————————————————————


「えっと……あの……」


「すみません、クエスト報告と素材の換金をお願いします」


「でも……え……」


「あ、荷物持ちが素材を運びますので。どこに運ばせればいいですか?」


 鉱石がパンパンに詰まった袋を片腕で担いでいるシズルは疲労困憊だった。


「は、早く教えてくれ……!!」


「こ、こちらにどうぞ!! えっと……クエストはゴーレムの討伐でしたか?」


「そうです。討伐証明の素材とそれ以外の素材もすべてこちらに」


「それでは……確認させていただきます……」


 昨日急に高レベルになった俺に対して不信感を隠しきれない受付嬢だが、シズルをパシリにしていることで不信感を通り越して恐怖すら感じているようだった。


 いい傾向だ。


 周りの冒険者達も過度に俺を馬鹿にするものは少なくなった。謎のモンスター大量死と、その場で唯一大量にレベルが上がった男がいれば、さすがに関連づけることが出来るだろう。俺には何かがあると。


 中には相変わらずSTRもVITも1のことに対して馬鹿にしている奴らもいるが、それも少数だ。



 ——この街は、つまらなくなったな。


 このクエストの金を受け取ったらこの街を出て行こう。

 そう思って換金を待つ。


「あの……これはなんですか?」


 換金担当の職員が金色の素材を指さして俺たちに問う。


「何って、ゴールドゴーレムの素材だが」


「何を言ってるんですか。ゴールドゴーレムなんてあなた方のステータスで倒せるわけがないでしょう……強力な爆弾でも難しいんですよ?」


「といわれても本当なんだよなぁ」


「とにかくここではこれは換金出来ません。ここよりも栄えているドリューの街であればもしかしたら……」


 え〜使えねぇなぁ。


 まぁ丁度街を出ようと思っていたところだ。


「それじゃその素材はこちらで処理します。それ以外の素材は?」


「査定は完了しましたよ。買取金額は……305,500Gです」


 305,500Gか。割といい値がついたな。

 この二日間の宿泊で使った金が20,000Gだということを考えると、相当稼げたと言える。ちなみにその内12,000Gは酒代だ。


 そのまま金とゴールドゴーレムの素材を受け取り、ギルドを後にする。


「おいおいリオ! 大儲けじゃねぇか!!」


「冒険者達も驚いていたな。私も鼻が高いぞ」


 スズネは優しいなぁ。それに比べてこいつは……金の話ばっかだ。


「そうだ、スズネ、シズル。俺はこのまま街を出る予定だが、二人はどうする?」


「私は付いていく」


「オレも付いてくぜ? ゴーレムの報酬も貰ってないしな!」


「そうだ忘れるまえに報酬を分けようか。はい、これがスズネで、これがシズル」


「リオ! 私はこんなにいらないぞ!」


「なぁ……」


「何言ってんだ。パーティーだろ? それでいい装備でも買ったらいいさ」


「おい……」


「そうか……ありがとうリオ。大事に使う」


「あぁ。今後も一緒にいる間はよろしく頼むな」


「おぉぉぉぉぉいぃぃぃぃ!! なんでオレの報酬は1000Gなんだ!!」


 うるさっ!! 耳がキーンってなったわ!


「なんだよ! お前は荷物持ちだろ!! それに素材を盗もうとしたじゃねぇか!! 酒も死ぬほど飲むし!!」


「それを言ったらスズネも一緒だ!!」


「スズネはしっかり周囲の警戒もしてたしゴーレムが来る時は教えてくれてただろ! お前は金に目が眩んで素材を貪ってただけだ!!」


「そんなこと言うなよ!! 仲間だろぉ!!」


 仲間——


 仲間か。


 確かにこの世界に来て初めて心を許せる仲間なのかもしれない。


 そうだな。こんな世界だけど、ステータスの強い弱い以外でも分かり合えることだってあるんだ。


 俺も少し考えを改めなければいけないな。


「わかったよ。ほら、お疲れさんシズル」


「……これは?」


「干し肉だ。酒の肴にでもしてくれ。1000Gあれば安い酒くらい買えるだろ」


「うわぁぁぁぁぁぁん!!」


 あらら、泣いちゃった。


 リオ

 ————————————————

 LV:49

 HP:1060

 MP:700


 STR:1   攻撃力

 DEX:264 命中力

 VIT:1   防御力

 AGI:603 俊敏力

 INT:118 魔法力


 スキル:持続ダメージ LV:1

 効果 :1秒間に自身のSTR値の攻撃を与え続ける。ON、OFF切り替え可能。永続。防御不可。


 パーティーメンバー:スズネ

 泣いちゃった:シズル

 ————————————————

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