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俺はこの世界でAI《アイ》を叫ぶ  作者: 神無月
1ST:崩壊世界と生き残り
3/7

EP.2「崩壊世界は敵意に満ちる」

燃え尽きた研究所の隣、地下へ続く埋め込まれた隠密扉ステルスドア、バイクであの猛攻を越えた後、何とか隠密扉ステルスドアの元まで帰ってこれた、ラキはバイクを降り隠密扉ステルスドアの近くに立つ燃え尽きた研究所の壁に付く制御盤、それに近づきパスコードを入力する、


「よし、オープン、」


機械的な解錠音と共に鉄の床だった場所が盛り上がる、四角い形の金属扉が地面から這い出てきた、


「此奴のパスワードは確か《26540413》だっけか、」


金属扉は開き地下へ続く階段が開かれる、


「アデル行くぞ、」


今だバイクでうずくまり震えている、アデルを抱き上げる、抱き着き返してくるアデルをしっかり抱き、階段を下る、最下層に二つ目の金属扉が見える、


「よし、片腕だけでやるとやりにくいな、」


そう吐きながら制御盤を操作する、金属扉が音を立てて開いた、開いた扉からルイが出迎える、


「お帰り!お父さん!」

「だから俺は父親じゃねえ!」


そう言って、ラキは部屋を歩き、近くにあるソファにアデルを静かに座らせた、


「ええでも、今の抱っこしてたとこなんか如何にも、、ぐえっ!」


弄り続けるルイの首元に思いっきりチョップを食らわせる、


「いい加減にしろ、それにお前、俺とアデル置いて一人で先逃げやがって、あの後大変だったんだからな!」

「まさかあ、見つかった訳でもないだろうし、」


そんな様子でお茶らけているルイをラキは半目で睨み付ける、それを見てルイはふざけるのを止め、ラキを気まずそうに覗く、


「え、、あれ?」

「そのまさかなんだよ、この野郎!!」


そう怒鳴ってルイの腹を殴る、


「おえっ!!、、、痛って!!なにすんのさ!!」


ルイは怒るがラキは構わず怒鳴る、


「何するじゃねえ!!こっちにはアデルだって居た!!それに最初に見捨てられないと言ったのはお前だろ!、それなのにお前はあの時俺らを置いて行ったよなぁふざけんな!、あの時は何とか距離があったから攻撃を避けられたが、距離が後少し近ければ、今此処に俺とアデルはいなかったんだぞ!!お前の行動で仲間を殺してたかも知れねぇんだ!!」


そこまで一気に怒鳴り切るとラキは振り返り、再び階段へ向かう、


「あ、おい!!ラキ!!どこ行くんだ!?」

「依頼品の納入だよ、まだ仕事終わってねぇだろうが、俺が出てる間にしっかりその天才脳で今日の行いついて考えとけ、」


叫ぶルイにラキは静かそれでいて皮肉交じりに言い放ち外へ出てった、


──────


「はあ、どうしよう、、、」


久しぶりにラキと喧嘩した、どうしようあそこまで激しい喧嘩は更に久しぶり出し、、

ルイがアデルの隣に座り込み頭を抱えていると、アデルは恐る恐る話しかけた、


「ルイお兄さん?、」

「うん?どうしたのアデルちゃん?」


ルイはなるべく落ち着いた声色でアデルに聞き直す、


「あの、ラキお兄さんは何処へ行ったの?」

「ああ、ラキはね、仕事だよ、」


頭を抱え軽く長髪の髪を弄りながらアデルに答える、


「仕事?こんな世界でも仕事があるの?」


アデルの疑問はもっともだ、こんなそもそも人が生き抜く事すら難しい世界で仕事があるという事が不思議なのだ


「こんな世界だからこそ仕事をするんだよ、と言ってもそんな崩壊前に出来た様な大それた仕事は無理だけど、こんな世界だからこそ僕らの様な人ができる仕事がある、」


ルイの発言の意図を理解できないアデルは頭に?を浮かべながら問う、


「出来る仕事って?」

「外には一応、街までは行かないけど、生き残った人々が造った基礎拠点(ベースキャンプ)の様な物があって、そこで仕事の依頼を請け負うんだ、僕らみたいに集落に住まずにいる人を皆は放浪者アウトロー何て呼ぶ、アニメみたいだろ?」


アデルはそんな捨て吐くように言ったルイに、静かに言う、


「その仕事って?」

「簡単さ、物資や機械共の棄てた廃工場からの部品回収だったり、女性や子供を連れた家族だったり女性だったりの護衛だったり、変わり種だったら、制作する武器や道具の開発を手伝ってほしい何てのも、()()()()には届く、」

「僕ら?」


アデルが引っ掛かった言葉を口に出した、


「そう、僕ら、仕事を請け負うって言っても何処か仕事の依頼が纏まってるゲームとかで言う集会所ギルドみたい所はないからね、自分から仕事を請け負いに行ったり、名が知れた放浪者アウトローなら逆に、相手から頼まれたりする、」

「ルイお兄さん達はその、名が知れた放浪者アウトロー、、なの?、」


アデルが少し気まずそうに聞く、然しルイは、そんな少し目を合わせるのを避ける様に聞くアデルに、ルイは微笑みながら少し誇らしげに言った、


「まあ少しはね、どっちかと言えばラキの方が知られてると思う、」

「ラキお兄さんが?」

「そう、ラキは請け負った護衛の時とかに、喋らず無表情で機械共をどんどん駆逐したりしてたらしくて、外では鉄面の機械殺し(アイアンキラー)、何て呼ばれたりしてる、」


そう言って少し笑うルイにアデルは少し不思議な顔をしながらルイに問う、


「ルイお兄さんは何て呼ばれてるの?」

「僕?、あっはは、、そこまで気乗りはしなかったけど、叡智の使い手(メーティス)何て呼ばれたりしてる、、」


今度はルイがアデルから目を逸らし苦笑いする、アデルはそれに先程までと打って変わって目を輝かせてルイに言う、


「じゃあどっちにも通り名があるの?」

「まあ、一応、、二人合わせて、全能代行者(オーラ―エジェンズ)って呼ばれたりする時もある、、」

「カッコイイ!!」


アデルの不意の言葉に、ルイは顔を軽く歪める、


「そ、そう?なんか恥ずかしくない?」

「ううん!カッコイイ!アニメに出てくるヒーローみたい!!」


目を輝かせてそう言うアデルに、ルイはあはは、と苦笑する事で返す、


「そんな良い物じゃないけどね、基礎拠点(ベースキャンプ)に行けば大きい声で通り名呼ばれるし、、実際、とっても恥ずかしいんだよ、、」


優しく説得するようにルイは言った、然しアデルは目を輝かせて今だにルイを見ていた。


──────


《一方ラキは、、、》


「たくっ!!あの野郎マジで腹立つ!帰っても絶対に許さねぇ、、、」


ラキはバイクを走らせながら、ずっと根に持っていた、そしていつの間にか基礎拠点(ベースキャンプ)に着いていた、ラキがバイクを降り手で押しながら門の前まで着くと、この時代には古い、薬莢内の火薬の発破を利用した突撃銃アサルトライフルを装備した門番二人に止められた、


「名と目的を言え、」

「はぁ、名前はラキ、目的は依頼品の納入に、」


ため息をつきながらいつも通りの手順を終える、門番はそれを聞くと、ただ頷き鉄板を継ぎ接ぎして作られた門を開く、ラキは無言でバイクを押し中へ入った、


「此処の空気は嫌いだ、、、」


中に入ると外と比べれば賑やかな基礎拠点(ベースキャンプ)の空気がラキを出迎えた、不格好な鉄板の継ぎ接ぎで作られた売店の様な場所では中年の女性が食量を売っている、少し奥では鍛冶場の様な場所で電動ドリルや電熱ナイフなどの今の世界ではかなりの高級品が売られている、


「あらっ!!ラキじゃないのかい!?また来てくれたんだね!嬉しいよ!」


売店の女性がラキへ話しかけてきた、面倒くさい、この人とはなるべくかかわりたくない、


「ああ、ベレおばさん、どうも、」

「久しぶりだねぇ、この前来たのは一週間前だっけねぇ?その間に怪我したりしなかったかい?」

「ああ、、うん、この通り元気だよ、、」


ベレは何故かいつも俺とルイには母親の様に心配したり話しかけたりしてくる、正直言って鬱陶しい、すぐ近くの目的地がこの人と話しながらだと、とても長く感じる、ラキの予想は大いに当たった、ベレはラキの様子を見て、目を少し細めてラキを見る、


「本当かい?アンタ、またルイと喧嘩でもしたんじゃないのか?」

「!・・・違う・・」

「やっぱりそうだ!、アンタは図星だと、直ぐに口数が少なくなるから直ぐ分かる!!、全く!喧嘩をしたらしっかり謝んなさいと何度も言ってるだろ?」

「俺は悪くない・・・」

「全くアンタは喧嘩したら二言目にはそればかりだね!まあ、今回はこのぐらいにしといたげる、帰ったらしっかり謝んだよ!」

「・・・・・・」

「返事は!」

「・・・・・はい・」


絶対に謝るものか、ラキはそう心に誓った、そして珍しく早く終わったベレとの会話を越え最奥に立つ周りより少し大きめの鉄板で出来た建造物へ向かう、正面入口の上にでかでかとLABO!と書かれている、ラキは建物の前に来て小さく言った、


鉄面の機械殺し(アイアンキラー)、、」


ラキがそう言うと、扉が直ぐに開かれ中から老人の声が聞こえる、


「入って来い!」


ラキは言われた通りにLABOへと入った、LABOの中は乱雑に置かれた書物だったり、ドリルや溶接機の様な工具が散乱していてとてもLABOには見えない印象を見せていた、そしてその奥から声の主であるキラリと光る頭にゴーグルを乗せた如何にも技術者と言う見た目をした老人が出てきた、


「ようラキ坊!依頼の品は持ってきたか?」


老人は筋肉質な片腕をこちらに出し、部品を寄越す様に手招きする、然しラキはそれよりも前に部屋の散らかり具合に意識が行っている、


「なんか前より散らばり具合酷くなってねぇか?ゲイル爺よぉ、」

「うるさい!儂が分かりゃあ散らばり具合何ぞどうでもええわ!さっさと部品を寄越さんかい!」


そう怒鳴りながら、今だ何かを作り続けるゲイルに、ラキは取り敢えず部品を渡す、


「しっかし、電磁重力体アークグラビティなんて何に使うんだよ、」

「今は教えん、じゃが、時が来たら教えたる、それまでは待っとれ」


ゲイルは問いをそう言って受け流す、


「あっそ、それってつまりゲイル爺がボケて一生分かんなくなるってことね、」

「お前、儂がボケるって言いてぇのか?」


ゲイルを挑発したラキにゲイルはあっさり乗っかりラキを睨み付ける、


「別に、俺はただ事実に等しい事を言っただけー」

「チッ!相変わらず口減らねぇガキだなおめえは、」

「別にぃ」

「まあいい、今日はもう出てけ、依頼は終わりだ、好きな本持ってけ、そこのテーブルに乗っかってる奴なら何でもいい、」


そう言ってゲイルが指差した先には、最早床から伸びた本の山と半分同化しかかったテーブルと、その上に置かれる本の山があった、


「テーブルの上ってどこまでだよ、、」


小さく呟き、テーブルの上(仮)の中から何か良い物が無いか探す、


「ん?これは、、」


ラキは本の山の中から古びた絵本を取り出す、


「《Machine killer night》、、これ、俺が昔見てた、、絵本?どうしてここに?」


ラキが絵本を見ていると、ゲイルがそれを軽く見た後に口を開いた、


「何だ?珍しいなそんな絵本をまじまじ見るなんてお前らしくねぇ、」

「あ?別にそんなのどうでもいいだろ、昔ガキの頃見てた絵本なんだよ、」

「ガキの頃ってあれか?お前が前に話してたお前の姉さんが生きていた頃ってやつか?」


ゲイルがそう言った瞬間、室内の空気が変わる、重々しくそして怒りの空気に変わった、、


「それ以上その話はやめろ、もう思い出したくない話だ、」

「おう怖い怖い、悪かったのう、」


ラキにそう茶化す様な言い返しをするとゲイルは直ぐに作業に戻った、


「この絵本貰っていいか?」

「おう、好きにしろ、」


ラキはゲイルにそう言われ、《Machine killer night》と書かれた絵本を持ち出口へ向かった、


「ああ、それとラキ坊、最後に、」

「何だ、」


ゲイルは出口へ向かったラキを引き留めた、


「無茶はするなよ、」

「何だよ急に、、」

「何だとは何だ、ラキ坊おめぇ、最近どんどん荒れて来てるっというか、どんどん感情を失くしてきてる様に見えるぞ、」


ゲイルは心配するようにラキへ話す、ラキはそれに反発するように口を開く、


「俺が感情が無い?、なに言ってんだ?俺のどこが感情がないように見える?俺は異常じゃねぇ、

たくっ、何でここの奴らは俺らのことをそこまで心配すんだよ、他と同じ、ただの放浪者アウトローじゃねぇか、、」

「心配する理由?簡単だ、お前らが一番儂らの基地キャンプに貢献してくれて、、何より大切にしてくれる、だからこそじゃ、今この基地キャンプでお前たちを家族だと思ってない奴など居らん、お前らはこの基地キャンプではもうただの放浪者アウトローなどではない、家族なんじゃ、家族を無下にする奴はおらんじゃろうて、」

「あっそ、そんなの俺からしたらただの迷惑だ、俺が此処にいるのは此処しか俺が知ってる基礎拠点ベースキャンプが無い、だから此処で仕事を請け負ってるだけだ、」

「だとしてもだラキ坊!、お前にとってそれだけの理由でも儂らにとってはお前らの存在それ以上なんじゃ!だからこそ頼む、無茶をしないでくれ、」



───お願い、優しい貴方のままでいて、お姉ちゃんとの約束、、───


まただ、思い出したくない声が聞こえる、もう聞きたくない、


「・・・・クソが、」


ラキはゲイルの言葉に荒々しく言葉を返し、出口を出た、外に出れば様々な奴らが、俺の名を呼ぶ、


「たくっ、面倒くせぇ、」


入口近くまで来ると微かに響くエンジンの音に気付いた、何だ?、ラキは漆黒に耳を変色させ耳を澄ます、


「オイ待てこの音、、機伐自警団(ランバーポリス)!?、クソがっ何でこんな時に、、」


ラキは急いでバイクに飛び乗りエンジン点火を急ぐ、ベレはその様子に心配そうに近づき、ラキに問うた、


「ラキや何かあったのかい?それにその耳、、、」

「悪いが先を急ぐ、話ならまた今度だ、今はそれどころじゃない、」

「何があったんだい?」

機伐自警団ランバーポリスが来た、俺のことは言わないでいてくれ、じゃあな、」


そう言った直後ラキはアクセル全開のバイクで一瞬のうちにキャンプを去ってしまった、そしてその直後、門の前に基礎拠点ベースキャンプ機伐自警団ランバーポリスが現れた、


「アンタ達は?、、」


ベレが何が何だかわからない様子で聞くと、その中でも一際背の高い軍服の様な物に身を包んだ女性が軍帽を被り直しながら前に出て挨拶する、


「突然の訪問申し訳ない婦人よ、我々は機伐自警団ランバーポリス、私は機伐自警団ランバーポリス:総司令官のウェデリア・エメラダだ、」

「ウェデリアさんですか、、」


ベレは一度反芻する様に口に出す、


「ああ、然し済まない余り時間がないんだ、直ぐにでも此処にいる皆さんにはこの基礎拠点(ベースキャンプ)から我々の基地に避難してもらう、」


いつの間にか集まっていた基地キャンプの人々が別々の声を上げる、それは不満であったり、喜びであったり様々な多種多様な声だった、そしてその中から老人が一人前に出て声を上げた、


「儂らが何故移動しなければならないのじゃ、理由は何じゃ、それを示したもらわねばな、」

「それは、失礼した、」


老人の声に、ウェデリアは納得したように頭を下げ、内容を述べ始めた、


「数時間前、空中監視砲塔型(エンペラスホエール)による砲撃の着弾がこの付近で確認された、奴の砲弾には機械共の巣を作る機能が備わっている、その為、巣付近に点在している基礎拠点ベースキャンプ全てに私と私の部下を送り避難命令を出している、恐らく数日後にはここら一帯も巣に飲まれる、その為の避難命令です、ご理解して頂けただろうか、」


ウェデリアはそう言って一礼する、老人はそれを聞いて頷く、


「なるほどな、よーく分かった、いいじゃろう儂はここから撤退する準備をする、それと先ほどは失礼したのう、儂はゲイル・アラシガじゃ、」


ゲイルはそう言ってウェデリアと同じように一礼するとLABOへ物資をまとめに戻った、他の住民はウェデリアの言葉を聞いて、同じように準備を開始する、その中で一人が小さく囁いた、


「ごめんよラキ・ルイ、私はやっぱりアンタ達に伝えずに行くことは出来ないよ、」


ベレはウェデリアの元へ向かい言った、


「アンタ、ウェデリアと言ってたね、お願いだよ!、二人の放浪者アウトローにこの事を伝えさせておくれ、頼むよ!!」

「それは、不可能だ、この世界で外を生身で歩くのは危険だ、」

「だけど!、あの二人は可愛い私達の子供の様な物なんだよ、お願い!会わせとくれ!」

「分かった、私達の部下を送ろう、場所が何処かは分かるか?せめて名前か何かは?」

「場所は分からないけれど、名前は分かるよ!ラキとルイ、、ラキとルイだよ!二つ名の方が分かるのであれば、ラキは鉄面の機械殺し(アイアンキラー)、ルイは叡智の使い手(メーティス)と呼ばれているよ!」


それを聞いてウェデリアは目を開き固まった、そして焦る様に願う様に言った、


「ラキが、、ラキが生きているのか!!、」

「え、、えぇ、生きているわよ、よく此処で仕事を受けてくれていたわ、」

「そうか、、そうなのか、良かった、、本当に、、良かった」


姉で在りたいと願いながら手離した弟が生きていてくれた、また願った在り方で生きれるのかもしれないと、ウェデリアは僅かに涙を浮かべ歓喜した


「分かった、此処に機伐自警団ランバーポリスの団員を配備をしておこう、そうすれば彼であればまた此処に来る、その時に状況を伝え我々の本部に、それならばどうだろうか?」


ウェデリアの提案にべレは少し悩む様な素振りを見せ頷く、


「分かったよ!じゃあ本当に頼んだからね!」


そう言ってベレは売店に戻り荷支度を始める、ウェデリアは全員が準備に向かったのを確認し、此処にやって来た機伐自警団ランバーポリスの指令近衛部隊の元へ戻る、そして小型対機械装甲車両レヴェラルト3機と回転銃座搭載式二駆ガンサベール3機に六角形に囲まれる様に鎮座する巨大多脚型戦車ビッグベアラー:指揮官専鋼甲(ヴェリ)武装車両弐型カリグに乗り込み車両内部に存在するプライベートルームに戻った。


ぼふっ!と備え付けのソファに座り込み、一筋の涙を流した、


「ラキ、、良かった、うっ、、うぅ、、」


そう、ウェデリアはとっくに限界だったのだ、次々と現れる機械に仲間を虐殺され、何とか生き残った者たちを束ね、機伐自警団ランバーポリスと名乗る事で士気を上げ、機械共に対抗する抵抗軍レジスタンスとなった事で生まれた、死を許されなかった者たち、今までも何とかそれを指揮してきた、だが既に度重なる遠征や機械共の巣:甲装巣アーキテックの破壊に団員が次々と死に、その死を受け入れる事が辛い、途轍もなく辛いのだ、何人という者がこの軍に志願しそして散っていった、死した全員は今も自分の心の中ではまだ生きている、だが既にこの世界からは消された亡き者達、心の中で思い出してしまう度、既に死んだ事を何度もフラッシュバックしてしまう、心が壊れそうだ、唯一弟の様に思えた姉で在りたいと、ずっと支えてあげられる存在でいたいと願わせてくれた者も、自ら手放した、そう思っていた。


「後少しだ、後少し耐えれば、、、後少し耐えればいいんだ、そうすればラキに会える、私の在りたい姿を見せてやれる、そうすれば今度は、私が私の力で、ラキを守ってあげられる、」


それまで耐えろ崩壊してしまいそうな今も常にミシミシと音を立てている心を無理矢理にでも抑えて、ウェデリアはそう思いながら涙で腫れた瞼を肉体強化機械ナノマシンで無理矢理直し、プライベートルームを出る、皆の前では、強く気高い総司令官の仮面を被る、そうしなければきっと崩れてしまうから。

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