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俺はこの世界でAI《アイ》を叫ぶ  作者: 神無月
1ST:崩壊世界と生き残り
2/7

EP.1「崩壊世界を生きる」

2354年、世界は壊れた、AIによる虐殺が日常となり、人類はAIから逃げ惑い隠れる者、AIを滅ぼそうAIへ反旗を翻す者、この崩壊した世界は混沌をより深めていった、


4か月後


─────ブゥウウウウン!!


道路などない地面を轟音と砂煙を上げ走るバイクが二機、何かから逃げる様に走っている、


「ねえ、ラキ!!どうすんの!?人機型ウォリアー3機と戦機型アーマ1機って逃げれるきしないんだけど!??」


並走している、バイクの片方に乗る小柄な男が叫ぶ、反対側のバイクに乗る長身の男は、そんな声に、はぁ、と ため息を吐き答える、


「どうするっていつも通りだルイ、わからねぇ、何て言わせねぇぞ、」


そう言うと、ラキ呼ばれた長身の男は、片腕をバイクから出しピースサインのように指を立てる、


「合流地点、B-126、散開!!」


ルイと呼ばれる小柄な男も嫌々という顔でその指示に従い、車体を急旋回させ、ラキが進む進路と直角になるように進み始めた、


「絶対に生きて帰って来い!!いいな!、」


最後に聞こえたルイの言葉にハンドルを握りながら半分吹き出しそうになる、


「俺がそう簡単に死ぬわけねぇだろ、死ぬことの方が難しいってのに、」


そう言って、もう聞こえない相手への返答を吐き出す、ラキはバイクを走らせる、後ろからはガシャン!ガキン!と人機型ウォリアー戦機型アーマの追跡する駆動音が響く、バイクの轟音に揉まれ、僅かでしかないが。


ラキは突然羽織っていた漆黒のローブを深く羽織り直し、バイクを乗り捨て崩壊したビルで出来た横穴へ飛び込む、機械共は今だ轟音をばら撒きながら余力で進み続けるバイクを追って、崩落ビルで出来た横穴へ飛び込んだラキを無視して進む、隠れたラキの直ぐ裏をバイクに引けを取らない駆動音が駆け抜けていく、


反射布纏衣ミラーローブ、相変わらずすげぇな、人機型ウォリアーのセンサをかいくぐれるとは、」


人を模った上半身から、四足の節足動物に近い足を生やし、

両腕が電磁加速式機関銃レールライフルに変形した異形の機械、それが人機型ウォリアーだ、AI共の造り出した殲滅者の末席、戦闘能力は低いが複数体で陣形を組み上位の機械と共に動く事でその短所を埋めて動く機獣、然し、戦闘能力の代わりに計測機関センサーが発達しているのか、通常見つかれば生身の人間に命は無い。


だが、ルイが造った反射布纏衣ミラーローブ()()()なんて言ってるが実際は赤外線だろうが超音波だろうが光子だろうが、その一切を吸収する特性を持つ吸収材が織り込まれた布で作られた特殊ローブだ、これを着ているうちは肌を見せない限り奴らの目を搔い潜れる、だが、素材が足りないせいで俺の分しか作れていない、そのせいでルイがいつも見つかり大体最後は逃げ帰るのがオチだ。


外からはグウァン、グウァンと奴らの独特な駆動音が聞こえる、


「まだバレてない、今の内か、」


ラキは深くローブを深く被り、外を覗く、まだ奴らはバイク周辺を探している自分が好き勝手に遊んで捨てれる玩具を探すように、


戦機型アーマは止まっているか、」


幾何学的な歯車を重ね繋げた様な体に、機械的な人を真似た腕が生え、それが身体を支え歩く、背に電核式回転機関砲アークライリングを備え360°全てを狙える万能多脚戦車スパイダータンク、その癖敵が見つかれば戦闘態勢バーサークに移行し、手の形を模した足は針の様な鋭さを持った巨体を固定する為のストッパーに変形する、いや、変異という言い方が正しいか、手が液体状の金属に変わり針へと完全に作り替わる、だが、今の彼奴は止まって手下の人機型ウォリアーが俺を見つけるのを待っている、ならば人機型ウォリアーも見つけていない隙だらけの今を突く、それが最適解だ。


──3、


──2、


──1、


──今だ、


ラキは足を黒く漆黒へと変色させ、戦機型アーマの背後へ駆け、高く飛ぶ、


戦機型アーマの弱点は背負っている電核式回転機関砲アークライリングの根本、稼働制御コアだ、」


ローブをはためかせ、失った右腕の代替に造られた禁忌義手アカシックガントレットを身体を隠すローブから出し、空中で身体を捻り、砲台の根元へ向かう進路を取り宙を蹴る、ラキの身体は蹴った方向へさながらミサイルの様に駆け出す、義手ガントレットを構え着地態勢に入る、ここまでの動作は全て無音、人機型ウォリアー共はただ必死に俺を探している、今や空中から貴様らの主を討とうとしている俺を、


「The,Endだ、戦機型アーマ。」


小さく囁き、ラキは着地と同時に義手ガントレットを振るい砲台の根元を殴りつける、キィーーーン、と金属同士がぶつかり合う音が終わる直後、ガキン!、と義手ガントレットから音が響く、瞬間戦機型アーマの砲台が根元から全て抉り取る様に砕け散り、途轍もない破裂音が響き周囲に木霊した、


──────


世界が壊れたあの日、外の世界に出た俺は叉漸神サザガミの研究所へ向かった、何故か彼奴が頭によぎった、一心不乱に駆けるAI共の隙間を縫うように潜り抜け走った、着いた時には研究所は燃えていたその全てを焼き払うが如く勢いで、手遅れだと立ち尽くす寸前に彼奴から声を掛けてきた、燃える研究所の横にある地下に続く階段から、


「ここは僕の造ったシェルターだよ、そこまで立派でもないけど、まあ外よりはマシだよ、はは、」


空笑いをしながら階段を下るルイは不意に振り返りラキの姿を目に納める、さっきまでの空元気の顔がみるみる青ざめていく、


「ラキ!その腕、、どうしたの!?」


失った右腕を指差し叫ぶ、ラキは自分の肘半ばから千切れ失くなった右腕を見る、


「ああ、気にすんな、痛みはねぇし血ももう止まった、そこまで騒ぐことでもないだろ、」

「騒ぐことだよ!、腕が吹き飛んでるんだよ!?普通だったら出血で意識が朦朧としたり、幻肢痛で痛みが出たりする、そんなあっさりと切り捨てられる、自体じゃない!!」


必死にラキを説得するように叫ぶ、ラキはそんなルイに顔色一つ変えずに言う、


「俺は討伐艦隊に入ったそこではこういう事態に対する対策に身体をちといじってるんでね、」


羽織っていた、ジャケットを脱ぎ黒く変色させた右腕を見せる、


「それって、どうなってるの??」


顔を強張らせ、状況を飲み込めないように目を見張るルイに、ラキはただ事実を告げる、


「艦隊で使われている肉体強化機械ナノマシンで止血している、まあ見た目がアレなのが玉に瑕だがな、」


ルイはそれを聞くと何かに気付いた様に、ラキにただ一言、来て、と言い階段で深くに下っていく、扉の様な場所に着いた、ルイは何か、制御盤の様な物に打ち込んでいる、プシュ!っという音共に扉が開く、


「入って、もしかしたら右腕の代わりになるものを渡せるかも、」


ルイはそう言うが、ラキ自身実際、腕なんかどうでもいい、こんな世界でも俺は生きていける、そんな強がりがあれば生き残れる、そう思っていたから、中は意外と広く白い清潔感のある衛生的にもよさそうな部屋が広がっていた、所々に分子形成(3Dプロジェクト)生産機プリンター加工変換機マージェクトマシンなどが置かれている、


「パスコード2354124635、よし、」


ルイは部屋の奥にある格納部のように見える場所に立ち、何かをブツブツ唱えている、突然その格納部のカーブを描いた扉が開く、中には腕?の様な物が入っている、ルイはそれを手に取るとラキの元へ戻ってくる


「よしラキ、これだ、制作番号No.152:禁忌義手アカシックガントレット、、破槌義手:レーヴェルト、僕御手製の義手だ、もしかしたらラキのその奇妙なナノマシンとやらとの相性もいいかもしれない、」


そう言って、ルイはラキに義手を渡す、ラキは僅かに怪訝な顔をしながらも、義手を手に取り黒く変色させた腕部に触れさせる、


「うぉ、おおお、」


不思議な感覚だ、無かったはずの右腕の感覚が段々と帰ってくる、まるで義手が本当に腕として身体の一部となったような、変な感じでもある、


「は!、、成功だ、義手がラキの身体に結合を始めている、やったなラキ!右腕がまた使えるようになるぞ!」


ルイは興奮気味だが、ラキ自身は余り表情を顔に出さず、ただ一言、ああ、と言うだけだった、


「どうしたんだ?ラキ?右腕が戻ったんだよ?良かったね!、」

「・・・なあ、何でこの義手は禁忌なんて呼ばれてるんだ?」

「あーっと、、それは、その義手にはある特殊機構が入ってて、それを上手く使いこなせる人がいないから?ていうか使ったら肩から、腕が吹き飛んだ、っていう事例があって、、」


ルイは目を泳がせながら、そう言う、


「おい、、なんつーもんよこしやがった、」

「でも!、でもでもね!ラキはそのナノマシンがある、それがあればその義手も使いこなせるかもしれない!」


ルイは両腕を前に突き出し必死に言い訳しているが、そんな程度で使えるなんて言われても信用がまるでない、ラキは半分呆れて顔が白けた様な表情になってしまった、


「ていうか、そもそも、特殊機構ってなんだよ、」

「ああ!そうそう、特殊機構っていうのは、強化衝撃破射出機構パイルショックシステムのこと」

「パイルショック?」


首を傾げ、分かっていない顔をするラキにルイは分かり易く教えられる様に、順序を持って説明していく、その姿は何処かの先生みたいだ、


「そうそう、その義手に加わった衝撃を、内蔵されている機構を使って倍の力に変換し、衝撃波として義手の正面方向に放つっていう物なんだけど、応用すれば、受けた攻撃を倍にして打ち返すカウンターみたいなことも出来るんだ、それに、衝撃波は義手の直接の攻撃の何倍もの距離、威力を減衰させずに進むんだ、だから、えと、そう遠距離に攻撃することも出来るんだ、名付けて:《パイルショット》!、なんてね。」


早口で説明し終わったルイは、ぜぇぜぇと少し息遣いが荒くなっている、


「他にも、」

「まだあるのか、、」


息遣いが荒くなっても説明を続けようとするその姿勢にある意味の凄さを覚える、


「そうその義手の指の部分、」


ラキは指に目をやる、よく見て見ると、手の甲側の親指以外の第三関節に当たる部分に小型のハッチ?の様な、蓋の様な部分がある、


「なんか、あるな、、」

「そうそれは、、まあそれは実際にやった方が早いか、」


そう言って、ルイは何かのリモコンの様な物のボタンを押す、すると連動するようにその蓋の様な物が開き、中から超小型の銃口の様な物が指の本数分出現する、


「なんだこれ、」

「それは、仕込み式の5㎜型音速(マッハブラ)貫徹機関小銃ストライフル今は分かる様に僕が出したけど、もう見て分かっただろうから、自分の意思稼働が出来るはずさ、」


ラキは試しに閉じろと念じて見る、すると本当に念じた通り、カチカチと銃口部が閉じ、普通の義手に戻る、


「だが、弾はどうするんだ?まさか自分の肉体とか言わねぇよなぁ、」

「流石に僕も外道じゃないよ?ていうか君には僕がどう見えてるの!?」

 

なんかまだガヤガヤ言っているが無視して話を続ける、


「で、弾薬は?」

「あー、そうそう、弾薬を入れる弾倉にもまた一工夫あってね、じゃじゃーん!、」


そう言って、何かを取り出す、


「鉄の刃?」

「そう!振動刃型弾倉!、そうだな、振動刃型弾倉ブレードマガジンとでも呼ぼうか、」


鎌の様な特徴的な刃物を模った、弾倉を持ったままルイは色々話しているが、、


「それ、どう使うんだ?」


純粋な疑問をラキはぶつけた、ルイは誇らしげにその質問にも答える、


「これを義手の外側にある、穴があるでしょ?そこに差し込んで、今は弾が入ってないけど、」

「じゃあ、意味なくないか?」

「いやいやそれがあるんだ、」


そう言って、持たされたそれに、混乱しながらも取り敢えず、側面に付いていた穴に差し込む、


「何か変わったのか?」

「うん変わっ───ちょ!その状態で近づかないでよ!」


ルイの方へ歩こうとすると、ルイから制止を食らう、何故だ、


「じゃあ見てて、義手をピン!と前に出して、ストップ!」

「こ、こうか?」

「そうそう、それじゃ見ててね、」


そう言って、ルイは片手サイズの鉄の立方体を持って来て、ラキのはめ込んだマガジンに投げる、するとそのまま鉄の立方体はマガジンに触れたのにも関わらず、マガジンに触れていない様に素通りしていく、


「は?どうゆうこ───」

「後ろにある立方体見てみ」


ルイに言われるがまま、鉄の立方体を見てどういう事か理解できた、床に落ちた立方体は真っ二つに一刀両断され、裂ける様に倒れている、


「・・・」

「そう、ラキも分かった?今のそのブレードは鉄だろうが何だろうが、水、いや、空気を切るみたいにサックリ切っちゃう、だから近づくなら外して、」


ルイが怖がるのも分かった、ラキはゆっくりと慎重にマガジンを外しテーブルに置いた、いきなりこんな兵器使えるかよ、、、


──────


戦機型アーマはメインコアを失い機能を停止し、地面へ座り込んだ、人機型ウォリアーはその破壊音に気付き、こちらに向けて銃口を構える、然しそれも束の間、人機型ウォリアー計測機関(センサ―)に映ったのは、宙から見た首先がない己の身体だった。


「はぁー、やっと終わった、面倒クセェー追跡しやがって、」


首を飛ばした人機型ウォリアー群と砕けた戦機型アーマを背にラキは言った、ラキはそのまま先ほど人機型ウォリアー共が群がっていた、バイクに戻り何処か壊されていないか確認する、


「よし異常なし、戻るか、」


バイクに跨がり、原子動力機ニュークエンジンを点火する、バイクは轟音を立てながらその場を走り去りその速度を上げる、


「急ごう、もうじき此処には機体解体回収型(グール)が来る」


そう言って、最大まで速度を上げバイクは駆ける、少し走っていると、先の崩壊ビルの近くに止まるルイのバイクが目に留まる、近くまで来てそこにはもう一人、人が居る事が分かった、白髪、、いや、銀髪の髪色をした少女、誰だろうか、バイクを止め、少女と共に居るルイに近寄る、近くに向かうにつれ、叫ぶ声が聞こえる事に気付く、


「お母ざん!!お父ざん!!!」


少女がビルの瓦礫に叫んで居る、ルイはそれを困った様に見続けている、ルイは先にラキに気付いたのか、こちらを振り向き軽く手を振る、といってもそこまで明るい様子ではない、


「何があったんだ?、ルイ」

「それがあの少女の両親が、」


ルイはそう言いながらビルの瓦礫を指差す、よく見ると瓦礫の下から血が滴っている、ラキは目を見開く、


「おい、まさか、」

「そうゆう事だ、どうにかしたいのだけど、あんな巨大な瓦礫をどかす事なんて出来ない、」


確かに血が滴っている瓦礫は1tを優に越えるだろうそれを持ち上げるなんて常人には出来ない、


「だが、あんな物の下敷きになっていたら、生きている訳、、」

「ああ、生存確率は0に等しい、然し、あの子を見捨てられる訳ないだろう、まだ見た限り十にも満たない少女だぞ、彼女を見捨てる何て僕には出来ない、」


確かにあの子はまだ小さい、このままでは人機型ウォリアーか賊に取られて終わりだろう、ルイはどうやらこの場を離れる気はないらしい、


貴方はそのままの優しい子でいてね────


思い出したくない閉じ込めたはずの声が頭に響く、


「チッ、仕方ねえ」


ルイを手で押し退かしラキは少女の元へ歩み寄る、


「おい、何があった教えろ、俺が何とかしてやる」


ラキは少女にぶっきらぼうに聞く、少女は怯えた目でラキを覗く、


「お兄さん、誰?」


怯え震えた声で聞く少女に、ラキは答える事なく繰り返す、


「それに答える気はない、もう一度言う、何があった、」


少女は疑心を宿した目でラキを見ているが、ラキはそれを気にせず、瓦礫に目を向ける、


「これの下、お前の大切な人が居るんじゃないのか、」

「・・・お母さんと、お父さんが、この下に、」


それを聞いた少女の目が開き、そして震えた声で小さく言った、それを言うと、再び泣きそうに、涙を堪え赤く腫れた目が、再び涙でぬれそうになる、


「分かった、、ルイ!!ちょっと来てくれ!!」


ラキはルイにこっちに来るよう叫ぶ、ルイは小走りでやって来た、


「何だ、ラ──」

「この子の目を手で覆ってやってくれ、」

「え、、」

「分かるだろ、この子には精神的負担が大きいはずだ、だからこの子に余り見せたくない、」


そこまで言ってルイも理解する、その通りだ、きっとあの瓦礫の下にいる少女の両親は、とても無惨な姿になっているだろう、そんな無惨な親の姿を少女に見せるのはとても悲惨で辛い、


「分かった、」


そう言って、ルイは少女の目を手で覆い、暴れる少女を静かに抑える、


「や!!離して!!お母さん!!お父さん!!」

「ごめん、もう少し待って、本当に、ごめん」


ルイがそうして少女を抑え、瓦礫から距離を取っている間に、ラキは左腕を黒く変色させ、瓦礫を両腕で持ち上げる、肉体強化機械ナノマシンで強化した肉体は10tまでは持てるようになっていた、瓦礫を持ち上げた下にあった者に、ラキは目を瞑る、


「ラキ、どうだっ、、た・・・」


ルイはラキの奥に見えた光景に目を見張り絶句する、ラキはルイの声掛けに静かに首を振って答えた、瓦礫の下にあったのは、身体がズタズタに砕け、顔が誰か確認出来ない程に壊れ、僅かに人であった頃の形を保った、肉塊が二つあった、片方は髪が長くそれだけが片方の肉塊が女性である事を伝えていた。


片手で支えていた瓦礫をどかし、少女の元へ戻る、


「ルイ、まだ目から手を離すな、この惨劇は見せられない、」


ラキはルイに目を覆われた少女に静かに伝える、


「お前に伝える事がある、」


少女は震えで声も出なくなったのか、静かにただラキの声を聞いている。


「お前の両親はもうこの世にいない、お前の両親は、既にこの世界から天に登った、」


ラキの声を聞き終えると、少女は静かに嗚咽をこらえながら泣き始めた、


「ルイ、もうこの子の目は覆わなくていい、今のこの子には世界を見ることは出来ない、」

「・・・分かった、」


ルイが目隠しを辞める、そしてそれを引き継ぐようにラキは片膝をつき少女を抱いて顔を服にうずめさせる


「泣けるだけ泣け、そうすれば少なくとも気は軽くなる、」


そう言って、泣き叫ぶ少女を胸に抱え、義手の腕で頭を撫でてやりながら、泣き止む時を待った、三分は経っただろうか、少女は泣き止んだのか静かになっていたがラキに抱き着いたまま、離れずにいた、


「もう収まったか、?」


静かになっても抱き着き続ける少女にラキは聞く、


「・・・・もうちょっと」


少女は小さい声で答える、抱き着かれ続けるラキはルイに助けを求める様な視線を送る、だがルイは敢えてそれを知らんぷりして周囲の警戒するように目を回していた。


更に時間が進んだ、そして唐突に少女はラキから離れ俯いたまま、小さく声を吐いた、


「お兄さん、、ありがと、」


純粋な少女は誰とも知らない見知らぬ男へ、涙を流す事を耐えられなかった自分を優しく抱擁してくれた男へ礼を述べた、ラキは少女の礼に頷き問う、なるべく優しく怖がらせずに済むように優しい声色で、


「君の名は?」

「アデル・シュエ・ミエルダ・・・」


アデルはたどたどしく言った、


「ミエルダ、、ヨーロッパ連合国の二大王族の名か、、君は王族の子かい?」


ラキの問いかけアデルは小さく頷く、


「そうか、アデル、、君にはこれからとても辛い選択をしてもらう、勿論、答えは今すぐに出さなければダメだ、いいかい?これは、これからの君の人生を決める問いだ、俺達と共に俺達の基地に来るか、それともこの狂った世界を己の力で生き抜くか、自分で選べ、俺が君の意思を尊重する、」


ラキはそう言って微笑む、この問いには実質アデルが今出す答えは一つしかない、まだ小さい少女が一人で生き抜くなどこの世界は許してくれない、もし一人で生き抜こうとしても武装もない彼女が辿る結末は機械か賊に捕まるだけ、アデルには既に答えの決まった問題を出した様な物だ、


然し名も知らない男に付いて行くその選択を決める事もとても勇気が居る、だからこそラキは敢えてその二つを天秤にかけさせた、きっとこの選択も出来ないままだったら例え付いてきたとしても生き残って行くことは出来ないだろうから、


「────行く、」

「ん?」

「付いて行く、、」


小さい声でアデルはその決断を吐き出す、ラキはそれを聞いて作った微笑みで答える、


「分かった、一緒に行こう、その決断ができる君は、強い子だ、」


そう言って、頭をさすり、ラキは立ち上がる、


「俺達の名前を言ってなかったな、俺はラキ、荒螺木アララギ 良鬼ラキだ、呼び方は好きにしていい、」


ラキがそう言うと、さっきまで周囲を見ていたルイも口を開く、


「僕は北嶺ホクリョウ ルイ、よろしくね!、ルイお兄ちゃんでも、ルイお兄さんでも好きに読んでね!」


ルイは満面の笑みでアデルに自己紹介するが、アデルはラキの背中に隠れてしまった、


「あれ?、僕嫌われてる?」

「お前のその善人面が気に入られてないだけだろ、如何にも詐欺師って感じだからな、」

「ひどっ!!」


ルイはいつも通りのオーバーリアクションをしながら笑う、


「まあ、これからはもっと稼がないとねっ!お父さん!!」


既にふざけた普段の調子に戻ったルイがすかさずラキにふざけを入れる、


「誰が父親だ、誰が!」


ラキがすかさずそれに突っ込む、いつものように、


「まあいい、アデル、」

「何?、じゃなくて、はい、」

「そこまで堅苦しくしなくていい、これを被れ、絶対に脱ぐなよ、」


そう言ってラキはしゃがみ、自分が羽織っていた反射布纏衣ミラーローブをアデルに着せる、


「これは?、、」

反射布纒衣ミラーローブ、これが君を機械共から守ってくれるよ、」


そう言って、しっかりとアデルの身に纏わせ、ラキは再び立ち上がるとアデルにルイと待つ様に言ってさっきの亡骸の元へ向かった、少し経った後アデル達の下に戻り、アデルに手招きをしてバイクへ向かう、


「これは、バイク?」

「そうだ、ルイが造った、、名前何だっけ?」


アデルに聞かれたラキは答えようとしたが分からなくなりルイに丸投げする、


「あのねぇ、それ何度目?」

「仕方ねぇだろ、お前の付けた名前覚えにくいんだよ、」

「はぁ、製造番号No.240:原子力推進機関型二駆ニューアラスバイク、いい加減覚えて、」


ルイは半分呆れ顔をしながら疲れた様に伝えた、


「そうそう、ニューア、、何て?」

原子力推進機関型二駆ニューアラスバイク!!」

「そう、それそれ」


二人のやり取りを聞いていた、アデルは思わず噴き出して笑ってしまった、ラキとルイはそれを見て優しく微笑む、


「よし、アデルは俺のバイクに乗れ、俺の後ろだ、」


そう言って、ラキはバイクの座席部を指差した、アデルはそれを見て少し震えた様に両手を握り目を開く、


「どうした?」

「あの、えっと、その、怖くて、ごめんなさい、」


再び泣きだしそうになりながら震えたアデルの頭をラキは撫で言う、、


「大丈夫だ、アデルは一人じゃない、俺達が居る、また一人になることは無い、心細くさせる事は俺達が絶対にさせない、」


そう言って、ラキはアデルの目を見つめる真剣にそれでいて安心させるために優し気に、親を失くして精神が不安定なのは当たり前だ、それにこんな小さい少女だ、


「安心しろとは言わない、だけど大丈夫俺が一緒に乗っているから、アデルを見捨てはしない、」


そう言うと、ラキはバイクに跨り、エンジンを点火する、クゥアンと、独特なエンジンの音が聞こえる、アデルは意を決してバイクにちょこんと座ると、ローブを深く被り、ラキの体にぎゅっと抱き着く、


「行くぞ!!ルイ!!」


ラキはルイに叫ぶ、同じくバイクに乗り込んだ、ルイは片腕を掲げ親指を立てる、そして二機のバイクは轟音上げ走り出した、


──────


ある程度走っていた時、不意にルイが叫んだ、


「ラキ!!少し急ぐぞ!!空が裂けてる!」


ルイの叫び声を聞いてラキは空を見る、普段は澱み切った灰色の空だった一部が裂ける様に開き、隙間から青空が見える、そしてそれと同時に、くおおおん、と空飛ぶ鯨の鳴き声が聞こえる、


「確かに不味いな!!然も既に鳴き声も聞こえる!!急がねぇと来るぞ!!」


ラキがルイに叫び返す、


「分かってる!、ラキ、加速ブーストを使うよ」


ルイが叫ぶ、ラキはそれを聞いて目を剥いて正気を疑うかの様に叫ぶ、


「本気で言ってんのか!?こっちにはアデルが乗ってんだぞ!?」

「それを何とかするのはラキの役目だよ!!僕は先に行ってるからね!!!」


そんなルイの叫び声が聞こえたと同時に、爆破音と残像の様な物が横を抜ける、


「ああ、クソッ!!!あの野郎後でぶん殴ってやる!!、アデル!!ちと怖いかもしれないけど、耐えてくれよ!!」

「え?・・」


そう叫んだラキは後ろに手をやり、アデルのローブを掴み自分の前の位置にもってくる、


「ひあっ!!、、」

「怖いだろうが耐えてくれ、これからもっと怖いからよ!!」


そう言って、ラキはハンドルに付いた炎のマークのボタンを押し込む、

それと同時に、

バイクに付いている排気ガスの排気口の管が変形し小型の空力加速機ジェットブースターの様な形に変わる、それが背後から蒼翠色の焔を上げ先程の比になら無い、轟音などではない爆破音を鳴らしながら、崩壊した地面を駆け始める、そして背後から円環の衝撃波(ソニックブーム)で起きたであろう爆破と衝撃波が起きる、その爆発に機体が背を押され更に速度が付き音速に到達する程の勢いで駆けた。


空の裂け方はより激しくなり、そこから奴が姿を現した、巨大な球体を重ね繋げた様な姿に、プロペラを繋げて造った細長い巨大なオールの様な羽根を何対も持ち、鯨の様な咆哮を上げる空飛ぶ機械クジラ,空中監視砲塔型エンペラスホエール


「クソッ!!間に合えぇ!!」


砂利を吹き飛ばして爆破音を鳴らしながら駆ける、然し速度を上げても間に合わない、空中監視砲塔型エンペラスホエールから一筋の光が放たれた、


「アデル!少し揺れるぞ!!」

「うん!!!」


目を瞑り必死にバイクを掴むアデルにそう伝え、ラキは車体を一気に曲げる、擦れるタイヤがジジジジと煙を上げる、何とか急カーブを成功させ走ると、先程のままで進んでいたら入っていただろう地点が吹き飛び、飛び散る岩石が周囲に飛び交う、ラキはバイクで左右に曲がりながら何とか飛び交う岩石を掻い潜った。

その猛攻が過ぎた後に残ったのは、砕けた岩石やビルの破片で出来た、

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