表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/27

ハイエルフのラーセレアが貧乏な理由

パーティーのメンバーになったハイエルフのセレアはなぜ貧乏なのか

 冒険者ギルドのホールにある壁の掲示板にはたくさんの求人の紙が貼られていた。


 壁の求人ボードは5段階の難易度に分けられており、簡単な仕事は報酬も低く難易度が上がれば上がるほど報酬が高くなる。


 難易度が3のあたりに長身で細身の緑色の長い髪のエルフの姿があった。


 モデル体型で薄緑のロングドレスで手足の長さが際立っている。緑色の長い髪から美しくややとがった耳が出ているのでエルフとわかる。


 冒険者ギルドの主任のエステアが「セレアさん」と後ろから声をかけると、振り向いたその目はエメラルド色で奥の深い輝きを見せていた。


 セレアは端正な顔立ちで、もともとエルフ族は美しい容姿だがその中でも美しかった。


「あなたにぴったりの仕事がありますので奥の部屋へどうぞ」


 セレアはエステアに案内された。

 奥の部屋へ呼ばれたことなどなかったので、セレアはややこしい仕事なのかと思った。


 呼ばれて見せられた求人の紙に書かれた案件は簡単な仕事だった。

 掲示板に貼られていなかったのは異常に高すぎる報酬のせいだろうか?


 求人の募集の紙にはアーチャーでヒーラーでエルフの条件が書いてあった。

 この条件で探すと候補者は絞られてくる。


 弓の使えるエルフは普通だが治癒魔法を使えるものはぐっと絞られるからだ。

 エルフの中には魔法の杖を使って攻撃するタイプもいれば弓を使うタイプもいる。

 セレアはその両方を得意にしていた。


 セレアの魔法の杖は小さく質素で木を自分で削りだしたものだ。

 セレアは質素な生活をしていた。一言で言うなら極貧生活だった。


 一人でぜいたくに暮らすのには十分なほどに稼いでいた。金使いが荒いわけでもないが、所持金はいつも底を尽きそうだったので派手な装備は買うことが出来ないので持っていない。それには理由があった。


 セレアはオクラスの南にあるセラルの森の小さなエルフの町「チェシエル」に生まれた。幼少のころから魔法と弓の両方の才能があり、村で1番の使い手となった。


 その時にラーセレアと村では呼ばれるようになった。

 ラーは太陽の意味でチェシエル村の明日の希望いう意味だ。


 チェシエルの特産物は薬草で作ったポーションだった。


 チェシエル村の南方にケヴィスンの砦ができたときに木材伐採のために森を荒らした。そのことでヒールポーションの原料となる薬草の一つが全く採れなくなった。


 チェシエル村のヒールポーションは効果が強く人気のポーションで高く売れていた。チェシエルの特産品だったものが作れなくなったために村の財政はあっという間に悪くなった。


 そのため村で一番能力が高く、若いエルフのラーセレアが出稼ぎに出ることになった。


 セレアが稼ぐ報酬のほとんどはチェシエル村に仕送りされるために、手元にはいつもお金がなかった。装備は悪いがレベルの低いクエストをこなすのにさほど支障はない。


「簡単な警護の仕事ですが、中身はレアアイテムなので報酬が倍です」

「こんな高条件な仕事は他にはありません」

「依頼者は商人ギルドのダノリクムのタリルで新人です」


「この新人はただの新人ではありません」

「質屋ノディスの資産家、ジャンノディスの跡取りです」

「この仕事で成果を上げれば継続して仕事を出すと言っています」


「つまり、タリルが生きている間は仕事は途切れません。金の卵ですよ」


 主任のエステアは自慢げにセレアに言った。


「ダノリクムのタリル?」


 知らないという顔でセレアはエステアを見た。


「ダノリクムのタリルは15歳で商人ギルドに入ったばかりで今回が初仕事です」


「だれも彼の価値にまだ気づいていない。ですから、掲示板には貼らずに直接あなたに渡しました」


「そしてあなたに渡したのにはもう一つ理由があります。あなたの村への仕送りには継続して大金が支払えるパトロンが必要ですよね」


「タリルは気前がいい。間違いなく良いご縁です。チェシエル村のみんなが救われますよ」


 エステアが太鼓判を押した。


 セレアには断る理由もなかった。エルフは寿命が長い。タリルがいる間でも生活が安定すれば良いなと思った。


「北の町ウィサリスへセーラルトの村経由で物資を運びますので、月曜の朝に商人ギルドのダノリクムに行ってください」


 エメラルド色の目が希望に満ちた色に輝いてエステアを見つめた。

 セレアは大きく自分の人生が変化する分岐点のような予感を感じていたのだ。


 エルフの予感はよく当たる。一種の霊感のようなものが備わっている種族なのだろう。


続きが知りたい、今後どうなるか気になる!と思ったら

下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


励みになりますので是非よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ